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2017年12月06日

飛ぶリュウキュウツバメを撮る

飛ぶリュウキュウツバメを撮る




  中城村の海岸を歩いているとツバメが飛んでいた。

  電線で休んでいるときは遠目には同じ流線形のシロガシラと姿が似
  ているが、飛んでいるときは飛び方が違うのですぐに判別ができる。

  防潮害保安林の上や横を縫うように飛び高く舞い上がっては旋回し
  て戻ってくる。


  数羽が旋回を繰り返している場所が3カ所あった。

  
  最初の場所は畑地から海岸へ抜ける路が風の道になっているアダン
  の茂みの近く。アダン林の辺りを中心に周回して飛び回っている。
  幾つかのポイントで撮影を試みたが、凄い早さで目の前に急に飛び込
  んでくるツバメをカメラで捕えることは出来なかった。背景も気にいらな
  かったのでそうそうにあきらめる。


  曇り空。憂鬱な雲が立ちこめている。砂浜から防波堤に上がる。
  まだ出会ったことがない乳房雲(にゅうぼううん)が出ていないか、中城
  湾の彼方の水平線や頭上の空を眺めながら歩き続ける。

 
  ススキの茂みが揺れ雀の群れがいきなりぱっと飛びたった。
  あわててカメラを向けたが間に合わなかった。

  ツバメを見かける地帯には雀もいる。どちらも餌に小さな昆虫を好む。
  ツバメと雀はどちらが強いだろうか。ツバメはその巣を雀に乗っ取ら
  れることもあるらしい。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る


  先ほどの雀たちが工場の柵の上に休んでいた。
  警戒心が強い。1枚撮ってさらに近づこうとするとすぐに散った。

  濃い茶色に白と黒のコントラスの雀の羽の色は美しい。落ち着きが
  感じられる色だ。




飛ぶリュウキュウツバメを撮る


  同じ工場の屋根近くの鉄骨。その周りに組まれた錆びた鉄筋の上に
  逃げてきていた。
  
  
  防波堤の上ではトンボが潮風に流されながら飛んでいる。
 
  トンボはツバメや雀の餌になる。保安林の後方には畑地や雑草の
  荒れ地が広がっており他の昆虫も多い。区画整理された畑地の中
  を排水路も幾つか海に流れている。その近くで蚊のような小さな虫が
  飛んで顔にまとわりついてくる。

  この地帯はツバメや雀には絶好のえさ場なのだろう。
  


  潮が満ちてくるのを待っている釣り人やウォーキングしている方と
  挨拶や軽い会話を交わす。しばらく防波堤の上を歩いていくと、
  ここでもツバメが飛んでいた。
  先ほどのツバメたちかどうかは分らないが可能性はある。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る


  この2つめの場所は工場がある場所。防潮害・防風の緑色のネット
  の壁が工場の海側に設置されている。このネットの上にツバメは
  現れたり消えたりしていた。
   
  ここは周回コースが分りにくい。またネットの上の空に浮ぶツバメの
  小さなシルエットしかここでは撮れない。飛んでいるツバメを  
  絵のように撮るにはここもいい場所ではない。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る


  ぱらぱらと雨が降りそうになる。風も強い。陽もかなり傾いている。
  引き返すことした。

  時計は持っていない。日没の時間(新聞で朝に確認)と陽の位置の
  角度から原始的な方法でおおよその時間を割り出す。誤差は30分
  前後。たいして困ることはない。晴天で陽が出ている時は自分の影
  も利用する。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

 
  帰りの同じ海岸。来るときは砂浜を歩いていたため気付かなかった
  が、ゴルフレンジのネット近くをツバメが飛び交って入るのが見えた。

  ツバメは同じ場所で同じコースを周回している。

  飛行コースを確認する。  

  風の通り道となっているゴルフレンジ横の幅3mほどの舗装路が
  ゴルフレンジの角を折れて防波堤沿いに続いている。

  ツバメたちはその道を路面から50~80センチメートルほどの高さ
  で向かい風に乗り滑空してやってくると、ゴルフレンジの角を周り
  ネットに沿って舞い上がり上空で旋回する。
  そして見えなくなったかと思うと、しばらくたつと再び風の道に降りて
  滑空してくる。

  
  周回飛行の軌道はほぼ同じ。低く滑空してくる道のツバメを狙う。
  ツバメをうまく横から捕えることができる場所に位置し、ツバメが
  やってくるのを待つ。目にもとまらぬ高速で突進してくるツバメが
  カーブした一瞬を至近距離から連写で流し撮る。




飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   20メートルほどの距離を猛烈な早さで水平滑空してくる。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る


  目の前を過ぎるときのツバメは人の目には「アッ」と言う間もない
  稲妻のような一瞬の影。目にはツバメの姿は見えない。

  ツバメが曲がり角を通過する手前に陣取り座った低い姿勢で
  カメラを流し撮る。時には立って撮る場合もあるが、凄いスピード
  で向かってきても、ぶつかりそうになる1~2メートル前で急旋回
  して決してぶつかることはない。

  すごい視力と身体コントロール能力だ。飛びながら空中で餌の小
  さな昆虫類を口で捕捉することからも視力の素晴らしさは分る。


  ここに掲載している写真はパソコンに取り込んだあとトリミング
  (画像の必要な部分だけを切り取り)している。実際の撮影した
  ままの画面ではツバメはとても小さく映っているのでそのままで
  は使えない。




飛ぶリュウキュウツバメを撮る
 
   上の写真と以下数枚はかなりブレているが、スピード感が出
   た味のあるいい絵になっていて気にいったもの。

   ここまでただ「ツバメ」と書いてきたが、正しくはリュウキュウツバメ。
   パソコンに取り込み拡大した写真でははっきりとリュウキュウ
   ツバメの特徴である額と喉から上胸にかけて赤いのが分る。
   尾羽もツバメに比べて短い。これもリュウキュウツバメの特徴。


   リュウキュウツバメについてはインターネット(Wikipediaほか)
   に説明がある。また鮮明な写真や特徴の絵図の情報もある。
   日本では奄美以南に生息する留鳥。大きさは13~14センチ
   と記されている。ツバメ(約17センチ)より小さい。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   これはピントはあっているが背景が雑で気に入らない。しかし、
   姿が図案化された飛翔するツバメの形になっているので残した。
   紅型などにも使用されているツバメの一般的なイメージの図形。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   ブレが逆にスピード感を醸し出している。 
   ピントが合っていなくてもブレていても雰囲気が出ていて味の
   あるいい絵は捨てずに残し掲載。   



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   


飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   曲がり角をカーブするとすぐに急上昇した。
   風向きが変ったのか、あるいは防波堤の上をウオーキング中
   の人影が視界に入ったのだろうか。
   カメラはどうにか追いついたが・・・・。かなりぼやけてしまった。

   尾羽のつけ根部分が暗褐色でうろこ状の斑になっているのも
   リュウキュウツバメの特徴というが、この写真から言われて
   みればそのように見えないことはない。




飛ぶリュウキュウツバメを撮る


   どうにか画面の端っこに映っていたツバメ。
   ツバメを撮影できた十数枚のうち背中が映っているのは3枚だけ。
   これはそのうちの一枚。
   もう一枚は冒頭に掲載した写真で黒と濃紺の背中の羽の色が分る。

   急な停止や旋回は尾羽を大きく広げて行なうという。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   長い翼を広げて風に乗る。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   風に乗る。風に乗る。


飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   偶然2羽のリュウキュウツバメが映っていた。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   道路の角を曲がる直前。カメラを流す前に最初にとらえた姿。
   ピントも合っている、ブレもないが背景はほとんど流れていない 
   のでスピード感がなく、どこかもの足りない。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   翼を打ち下ろし加速する。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   打ち下ろした翼を素早く振り上げ、また打ち下ろす。
   ぐんぐん加速する。


飛ぶリュウキュウツバメを撮る

  まるで弾丸のようだ。

  餌を捕捉する時や天敵から逃げるときは最高時速は200
  キロメートルに近いスピードになるという。新幹線並だ。
  
  ちなみに新幹線の最高スピードの第1位はJR東日本の東北
  新幹線「はやぶさ」の時速320キロ。第8位は秋田新幹線
  「こまち」の時速130キロという。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る

  最後に最もカッコよく撮れた一枚の再掲。
  下手な鉄砲を数多く撃ったらなんとか当っていたというの
  が正しいのだが、努力の結果でもある。


  メモリーの容量も無くなった。辺りも黄昏の気配が迫っている。
  撮影を止めて立ち上がり振り向くと防波堤をウォーキングする人
  たちが増えていた。潮も満ちてきていた。駐車場に急ぐ。

  
  リュウキュウツバメは渡りをせずに沖縄に年間通して生息して
  いる(このような鳥を留鳥というそうだ)という。しかし、もっと寒
  くなった冬場に見かけることがないのはどうしてなのだろうか。

  これまでリュウキュウツバメを意識して空を見上げて歩いてい
  なかったからだろうか。空は毎日眺めているつもりなのだが、 
  つまり関心がなければ「見ていても見えない」・・・。こういった
  ことは人生には多い。

 
  リュウキュウツバメが旅をせず周年沖縄に住んでいるなら冬
  場はどこで生活しているのだろうか。
  今年から来年に欠けての冬は空や野にリュウキュウツバメを
  追いかけることになりそうだ。





  うるま市平敷屋

  勝連半島の平敷屋の東海岸の集落外れにある火葬場近くでも
  11月下旬にリュウキュウツバメを見た。5~6羽ほど。いずれも
  餌を求めて風に乗って周回コースを幾度も飛びまわていた。
  近くには養豚場があり昆虫類が付近に多いようだった。


  ここの場合は路面すれすれに滑空してくる飛翔の様子は、背景の
  雑木林が暗い上に良い撮影位置もなく撮るのは難しかった。
  背景の暗い緑にとけこんで隠れてしまう。多くは空をバックの飛翔
  姿を撮った。幸い空は青く晴れていて高積雲がきれいな日だった。

  地元の人に尋ねると秋は台風前あたりから晩秋にかけて飛んで
  いて、冬は見かけなくなるという返事が返ってきた。


  このような返事を聞くと「留鳥」というのが気になる。

  Wikipediaにはリュウキュウツバメは、
  「海岸、河川、農耕地などに生息する。留鳥とされているが、
  冬期に個体数が増減する地域があるため、一部は子規模な
  渡りをしていると考えられる」
  という記述があった。そのとおりなら少し疑問が解ける。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   平敷屋の空に舞うリュウキュウツバメ。
   ここでは空を見上げての撮影が多くなった。


飛ぶリュウキュウツバメを撮る


飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る
   
   黒い縦線は高圧電線。
   


飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   風に乗ってゆうゆうと飛ぶ。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

 


飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   
   

飛ぶリュウキュウツバメを撮る

    
   周回コースを確認。養豚場の屋根をかすめギンネムの植栽の
   反対側から旋回してくる場所がある。これを狙って撮る。

   道路は工場や農家のトラックなどの往来があり、それを避けたり
   軽く頭を下げて謝ったりしながらなので気をつかう。
   もちろんツバメたちはそれらを巧く避けて水平滑空している。  
   


飛ぶリュウキュウツバメを撮る




飛ぶリュウキュウツバメを撮る



           泉は川とまじり
              川は海とまじる
           空吹く風はいつも
              やさしいこころとまじる。
           世にひとりのものはない
              あらゆるものが聖なるおきてによって 
           ひとつの精神に寄りあっている。 
              わたしがあなたに寄りあえないのは なぜ?


                ーーー詩:シエリー「愛の条理」
                 (上田和夫訳『シェリー詩集』新潮文庫より)





   うるま市浜比嘉島

   浜比嘉島。11月下旬。
   島の山の上の畑地。キビ畑や月桃の畑がある場所。
   農業用溜め池の上空をリュウキュウツバメが群れ飛んでいた。


飛ぶリュウキュウツバメを撮る

      上昇気流に乗り羽を広げて高く舞い上がる群れ。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る



   電線で休んでいる姿影を撮ったりしながらしばらく眺めていたら
   溜め池の上に斜めに急降下滑空しながら水面に突っ込んでいく。   


飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   水を飲んでいるのかなと思った。水面上の昆虫を捕っている
   ようだ。ときどきこれを繰り返していた。

   水面に向かってくる角度から、水面の着地点を予測しピント
   を合わして待つが、スピードが速いため目が追いつけず撮る
   のは難しかった。   



飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   バックの緑は廃校になった小学校のグランド後方の山。
   溜め池の方とこの山の方を移動していた。

   この山の東側崖下には昔は使用していたという湧水の場所がある。
   現在は水は涸れている。そこの崖のあたりに巣があるのではないか。
   廃校の方にはムクドリがいるのでここには来ないようだと、この地域
   のことを知る方は話す。  


 

飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   浜比嘉島の比嘉地区集落で。
   「2017イチハナリアート+3」の展示の屋根の上のオブジェ。
   うちまゆみこ氏の作品。発想が奇抜だ。

   猫もヘビもツバメには敵。巣を襲うのでツバメには危険な動物だ。
   カラスもあの雀もツバメの危険な相手。
   なお、ヘビは木や柱、コンクリートの壁を登ることができるので、
   人間も足下だけでなく樹の上も油断できない。     


   ついでにツバメとは関係ないが、同じ比嘉地区でのイチハナリアート
   の展示作品をもう一つ。


飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   Budi Adi Nugroho(ブディ・アディ・ヌグロー)氏の作品。
   比嘉地区の使用されていない古い(廃)井戸の石積みに、海辺で
   拾ったウキを再利用してつくったカニのオブジェを配している。
   ブディさんはインドネシア出身。   
 
   この古井戸の島での名称は「ミーガー」(パンフレットの記載による)。
   ミーガーとは新しい井戸という方言だから時の流れは侘しい。


   浜比嘉島で見かけた廃屋の写真もついでに・・・。


飛ぶリュウキュウツバメを撮る



飛ぶリュウキュウツバメを撮る






   市街地のリュウキュウツバメ
   

飛ぶリュウキュウツバメを撮る

  10月の早朝。沖縄市の住宅街の電線の上。
  この電線では数回1~3羽のリュウキュウツバメを見た。
  今はもう見かけない。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   右側のリュウキュウツバメの尾羽の基部にうろこ状の斑(はん)が
   あるのが分る。



飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   早朝大きな声でよくさえずっていた。そのさえずりで電線を見上げる。
   

   リュウキュウツバメの鳴声を書き表すとどうなるのだろう?。
    
   wikipediaには、ツバメの
   「オスはチュビチュビチュビチュルルルルと比較的大きな声で鳴く。
   日本語ではその生態を反映して『土食て虫食て口渋い』などと
   聞きなしされる。さえずりは日中よりも早朝から午前中にかけて
   耳にする機会が多い」とある。

   リュウキュウツバメはツバメの鳴声がにごったような鳴声だと記し
   てあるのをネットで読んだ。

  



   リュウキュウツバメの巣 

 
飛ぶリュウキュウツバメを撮る

   ツバメやカラスやヘビなどの敵から巣を守るため、人の住んでいる
   近くに巣を作る。 



飛ぶリュウキュウツバメを撮る
 

  宮城島では廃校の階段下の屋根の角にリュウキュウツバメ
  の巣がある。泥と枯れ草で固められている。

  「イチハナリプロジェクト+3」の時に情報を得て確認すると4~
  5ほど(破損したものも含め)の巣があった。2つは壊されずに
  残っていた。


  同プロジェクトの係の青年は、「2羽の親ツバメが飛び去ったあと、
  巣の中から鳴声が聞こえた」と話していた。中に子どものツバメが
  いるというが姿は見えなかった。親鳥(夫婦)は近くで確認した。
  
  2日後、集落内の空を飛び交う数匹のツバメを見た。例のツバメ
  の親子だったろうか。

  なお、宮城島の方によると、昨年(キビ刈りの頃)はもの凄い数
  (「数千」と語っていた)の渡りのツバメが飛来していたという。
  集落入り口の坂の道路面に留まっていて、車にて轢かれて死ん
  だツバメも多かったという。


 



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Posted by 流れる雲 at 00:50│Comments(0)
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