2018年03月08日
残波岬の波(9)
春になった。
遠くの丘から眺望する読谷の海は高波もなく穏やかで紺碧の色。珊瑚礁の縁に
白波が立っているが風はほとんどない。雲は少なく空にはややかすみがかかっ
ている。
護岸の下の砂浜を小さな犬を連れた人影がゆっくりと歩いている。一日雨はふ
ることはないようだ。
コスモス畑を過ぎ残波岬に向かう。久しぶりの見慣れた灯台と観光客の風景。
観光客はまばら。向かう灯台西側の岩場の上に白く波飛沫が上がっている。
寄せ来る波が海底の岩礁斜面で浮き上がり、逆巻く波濤となって礁嶺に頭を
出した岩を激しく打ち高い波飛沫の柱が立つ。
素晴らしい波飛沫の柱が3つ並び立った。
風が弱いので横にたなびくことなく形を崩さずに波飛沫が高く舞い上がる。
砕け散った波が引き流れ落ちる。
波柱が立った岩のカ所は半円状に窪んでいる。
砕ける波飛沫を正面から撮る。
正面からの撮影は波飛沫がカメラにかかる。レンズに息を吐きかけては飛沫を拭き
取ることを繰返す。この方法はカメラ店の店員がやっていたのを真似た。簡易な方法。
拭き取る間にも素晴らしい波飛沫が砕け散る。
岩場とイノー(礁池)の境に下りローアングルから狙う。
砕けた波がイノーを押し寄せ足下にかぶさった。
波飛沫と灯台。
波飛沫の飛んでくる場所からの撮影になる。シャッターを押しては素早く逃げる。
岩場で風に向かって休む千鳥の群れ。
警戒心はそう強くない。5~6メートル近くまで寄れる。
一斉に飛び立った。
写真右端上(岬先端の岩場)に釣り人の頭が見える。
向こう側の岩場にかなり大きな波飛沫が上がっている。場所を移動する。
ちぎれ雲の下で波飛沫があがり面白い形になった。
空を遊ぶ雲の子らと波飛沫が楽しい会話をしているかのような愉快な情景。
波はこの辺り5メートルほどの距離あるいは遠くは10~30メートル辺りから
うねり波頭に白波を立てて寄せてくる。
うねり押し寄せて岩の手前で逆巻く波。
岩を打ち波飛沫をあげるシャッターチャンスまでじっとカメラのファインダーを覗き
続ける。
岬最先端の岩場で波飛沫を撮る。
灯台のある岬最先端の岩場へは釣り人達が踏みならした跡が続いており歩きや
すい。
岬先端の岩場の釣り人。一日中釣りをしていた。
残波岬の断崖の上には釣り竿を仕掛けて置く鉄パイプを埋め込んだ穴が穿れ
ている。一本の釣り竿はその穴に差し込まれていた。
近くにあった籠を見ると30~40センチほどのかなり大物の魚が籠から尾びれ
を出している。
先端岩場の右(東)側は断崖。左(西)側は緩やかな岩場が続く。
岬先端から東側の長い断崖を望む。
残波岬のシンボルの灯台。今日は上までのぼっている見学客は少なかった。
岬先端の岩場(西側)を反対側から撮った。
向かいの岩の上に先ほどの釣り人の頭が見える。
岬先端の左側(西側)岩場直下の光景。
正面中央の岩の上にクロサギが休んでいる。
サギが釣り人のいる先端の岩場に飛んできた。様子がおかしい。
よく見ると釣り糸が口の中からのびている。岩にからんだ釣り糸をはず
そうともがく。気になり近づくとさっと飛び立ち、長さ2~3メートルほど
の釣り糸を口から垂れ下げたまま波の上を飛んでいった。
岬先端の岩場で初めて出会った美しい波飛沫の柱。
一瞬で崩れ落ちる。
白い泡沫が辺りの岩場にあっという間に広がる。
砕け散った泡沫が岸壁の斜面を滝のように海へなだれ落ちる。
波が打ち寄せ岸を叩き次々と波飛沫をあげる。砕け落ちた波飛沫の泡が辺りの
岩場一面を雪のようにおおいやがて白滝となって海に流れ落ちるーーー波は退
く間もなくまた打ち寄せる。ーーーこの繰り返しが数時間続いた。
潮が満ちてくるにつれ波飛沫の形も変ってきた。
柱状の飛沫はもう現れなくなった。
潮が満ちて来る。切り上げ時がきた。
岬先端から展望所のある断崖の方へ行き数枚撮って帰る。
日もすがら荒くれた海にありたしなぜにかく言うこのごろのわれ
春や来るその時うたへ冬の歌ひねもす海に身心(みこころ)浄めぬ
上の二つの短歌は大城吉秀の詩歌集『彷徨の海・空は青み』(根元書房。1984)
より。大城氏は旧豊見城村座安の出身。『彷徨の海・空は青み』は大城氏の若き
日の詩歌集。海に寄せあるいは海に託し海に包まれ歌人は想いを歌に詠む。
さらにいくつかの歌を拾ってみた。これほど海に心をさまよわせた沖縄の歌人は
いないのではないか。
時刻(とき)ゆくを惜しみ波打つ血の騒ぎ心に灯す外海(そとうみ)の日を
彷徨の海にさよならこの詩歌(うた)を精霊ながしやすらかに寐たし
放浪の海に南風(はえ)とほりまじわりて春の誕生天恵まぶし
魂きはる身にあらばこそ海にあり南風(はえ)のぬくもり光のそそぎ
「真昼の海、海また海を飽くことなく眺めると、一個の人間という存在は空と分かち
合う水平線の彼方に『無』のように融けて消えていく」と、海を心のふるさととする
大城氏は同詩歌集の「あとがき」に記している。
夕暮れ近くになると雲が多くなった。その雲間に見え隠れする陽の光が藪の中
の枯れ葉を照らしていた。
残波岬の野辺。冬枯れしていたススキは緑を取り戻し散策路沿い無数に生える
アザミが白い花を咲かし始めたが春の色は未だ少ない。
帰りの道路沿いにあるコスモスの花畑。 数年前から種が撒かれるようになり、
季節がくると、コスモスやひまわりの花が通り過ぎる人々を楽しませてくれる。
世の中に思いあれども
子をこふるおもひにまさる思ひなき哉 (紀 貫之)
畑の中のコスモスが生えていないスペースがあり、その中にはいると周りは花
に囲まれたようになる。スマホで我が子を撮る若い母親。女の子も嬉しそうだ。
見知らぬ髭の人と怖がっていたが、花に囲まれて写真を撮ってもらう頃からは
笑みが戻り、別れるときはバイバイと小さな手をふってくれた。
遠くの丘から眺望する読谷の海は高波もなく穏やかで紺碧の色。珊瑚礁の縁に
白波が立っているが風はほとんどない。雲は少なく空にはややかすみがかかっ
ている。
護岸の下の砂浜を小さな犬を連れた人影がゆっくりと歩いている。一日雨はふ
ることはないようだ。
コスモス畑を過ぎ残波岬に向かう。久しぶりの見慣れた灯台と観光客の風景。
観光客はまばら。向かう灯台西側の岩場の上に白く波飛沫が上がっている。
寄せ来る波が海底の岩礁斜面で浮き上がり、逆巻く波濤となって礁嶺に頭を
出した岩を激しく打ち高い波飛沫の柱が立つ。
素晴らしい波飛沫の柱が3つ並び立った。
風が弱いので横にたなびくことなく形を崩さずに波飛沫が高く舞い上がる。
砕け散った波が引き流れ落ちる。
波柱が立った岩のカ所は半円状に窪んでいる。
砕ける波飛沫を正面から撮る。
正面からの撮影は波飛沫がカメラにかかる。レンズに息を吐きかけては飛沫を拭き
取ることを繰返す。この方法はカメラ店の店員がやっていたのを真似た。簡易な方法。
拭き取る間にも素晴らしい波飛沫が砕け散る。
岩場とイノー(礁池)の境に下りローアングルから狙う。
砕けた波がイノーを押し寄せ足下にかぶさった。
波飛沫と灯台。
波飛沫の飛んでくる場所からの撮影になる。シャッターを押しては素早く逃げる。
岩場で風に向かって休む千鳥の群れ。
警戒心はそう強くない。5~6メートル近くまで寄れる。
一斉に飛び立った。
写真右端上(岬先端の岩場)に釣り人の頭が見える。
向こう側の岩場にかなり大きな波飛沫が上がっている。場所を移動する。
ちぎれ雲の下で波飛沫があがり面白い形になった。
空を遊ぶ雲の子らと波飛沫が楽しい会話をしているかのような愉快な情景。
波はこの辺り5メートルほどの距離あるいは遠くは10~30メートル辺りから
うねり波頭に白波を立てて寄せてくる。
うねり押し寄せて岩の手前で逆巻く波。
岩を打ち波飛沫をあげるシャッターチャンスまでじっとカメラのファインダーを覗き
続ける。
岬最先端の岩場で波飛沫を撮る。
灯台のある岬最先端の岩場へは釣り人達が踏みならした跡が続いており歩きや
すい。
岬先端の岩場の釣り人。一日中釣りをしていた。
残波岬の断崖の上には釣り竿を仕掛けて置く鉄パイプを埋め込んだ穴が穿れ
ている。一本の釣り竿はその穴に差し込まれていた。
近くにあった籠を見ると30~40センチほどのかなり大物の魚が籠から尾びれ
を出している。
先端岩場の右(東)側は断崖。左(西)側は緩やかな岩場が続く。
岬先端から東側の長い断崖を望む。
残波岬のシンボルの灯台。今日は上までのぼっている見学客は少なかった。
岬先端の岩場(西側)を反対側から撮った。
向かいの岩の上に先ほどの釣り人の頭が見える。
岬先端の左側(西側)岩場直下の光景。
正面中央の岩の上にクロサギが休んでいる。
サギが釣り人のいる先端の岩場に飛んできた。様子がおかしい。
よく見ると釣り糸が口の中からのびている。岩にからんだ釣り糸をはず
そうともがく。気になり近づくとさっと飛び立ち、長さ2~3メートルほど
の釣り糸を口から垂れ下げたまま波の上を飛んでいった。
岬先端の岩場で初めて出会った美しい波飛沫の柱。
一瞬で崩れ落ちる。
白い泡沫が辺りの岩場にあっという間に広がる。
砕け散った泡沫が岸壁の斜面を滝のように海へなだれ落ちる。
波が打ち寄せ岸を叩き次々と波飛沫をあげる。砕け落ちた波飛沫の泡が辺りの
岩場一面を雪のようにおおいやがて白滝となって海に流れ落ちるーーー波は退
く間もなくまた打ち寄せる。ーーーこの繰り返しが数時間続いた。
潮が満ちてくるにつれ波飛沫の形も変ってきた。
柱状の飛沫はもう現れなくなった。
潮が満ちて来る。切り上げ時がきた。
岬先端から展望所のある断崖の方へ行き数枚撮って帰る。
日もすがら荒くれた海にありたしなぜにかく言うこのごろのわれ
春や来るその時うたへ冬の歌ひねもす海に身心(みこころ)浄めぬ
上の二つの短歌は大城吉秀の詩歌集『彷徨の海・空は青み』(根元書房。1984)
より。大城氏は旧豊見城村座安の出身。『彷徨の海・空は青み』は大城氏の若き
日の詩歌集。海に寄せあるいは海に託し海に包まれ歌人は想いを歌に詠む。
さらにいくつかの歌を拾ってみた。これほど海に心をさまよわせた沖縄の歌人は
いないのではないか。
時刻(とき)ゆくを惜しみ波打つ血の騒ぎ心に灯す外海(そとうみ)の日を
彷徨の海にさよならこの詩歌(うた)を精霊ながしやすらかに寐たし
放浪の海に南風(はえ)とほりまじわりて春の誕生天恵まぶし
魂きはる身にあらばこそ海にあり南風(はえ)のぬくもり光のそそぎ
「真昼の海、海また海を飽くことなく眺めると、一個の人間という存在は空と分かち
合う水平線の彼方に『無』のように融けて消えていく」と、海を心のふるさととする
大城氏は同詩歌集の「あとがき」に記している。
夕暮れ近くになると雲が多くなった。その雲間に見え隠れする陽の光が藪の中
の枯れ葉を照らしていた。
残波岬の野辺。冬枯れしていたススキは緑を取り戻し散策路沿い無数に生える
アザミが白い花を咲かし始めたが春の色は未だ少ない。
帰りの道路沿いにあるコスモスの花畑。 数年前から種が撒かれるようになり、
季節がくると、コスモスやひまわりの花が通り過ぎる人々を楽しませてくれる。
世の中に思いあれども
子をこふるおもひにまさる思ひなき哉 (紀 貫之)
畑の中のコスモスが生えていないスペースがあり、その中にはいると周りは花
に囲まれたようになる。スマホで我が子を撮る若い母親。女の子も嬉しそうだ。
見知らぬ髭の人と怖がっていたが、花に囲まれて写真を撮ってもらう頃からは
笑みが戻り、別れるときはバイバイと小さな手をふってくれた。
この記事へのコメント
本日はありがとうございました(^^)
躍動感のある海、波のお写真を拝見させていただきました、
まだ、少ししか拝見しておりませんが、
恩納村のビーチの、細かい説明!地元の方だから知る情報が沢山詰まっていますね(^^)
また、見に来ますね(^^)
躍動感のある海、波のお写真を拝見させていただきました、
まだ、少ししか拝見しておりませんが、
恩納村のビーチの、細かい説明!地元の方だから知る情報が沢山詰まっていますね(^^)
また、見に来ますね(^^)
Posted by 座喜味のおやこです at 2020年08月30日 20:05
ご覧になっていただきありがとうございます。
先日台風後の残波岬と近くのビーチに行ってきました。
怒濤の良い波飛沫が撮れました。
子どもとなら船旅(片道20分ほど)も味わえる津堅島のビーチもいいですよ。
船賃もとても安く。北部へ遠出するよりも安く、運転で疲れない日帰りができます。
また、伊計島の東海岸、平敷屋の青間(おうま)海岸も素晴らしい砂浜があります。いずれの浜も3密を避けられます。
先日台風後の残波岬と近くのビーチに行ってきました。
怒濤の良い波飛沫が撮れました。
子どもとなら船旅(片道20分ほど)も味わえる津堅島のビーチもいいですよ。
船賃もとても安く。北部へ遠出するよりも安く、運転で疲れない日帰りができます。
また、伊計島の東海岸、平敷屋の青間(おうま)海岸も素晴らしい砂浜があります。いずれの浜も3密を避けられます。
Posted by 流れる雲 at 2020年09月10日 17:38
はじめまして、コメント失礼します。
波飛沫の柱の写真凄い迫力で素敵ですね!
質問ですが、何ミリくらいのレンズで撮影なさっているのですか?
もし良ければ教えて頂きたいです!
波飛沫の柱の写真凄い迫力で素敵ですね!
質問ですが、何ミリくらいのレンズで撮影なさっているのですか?
もし良ければ教えて頂きたいです!
Posted by バギー at 2023年04月06日 21:10
遅くなってすみません。今日コメントを拝見しました。
レンズは、最初に買ったカメラ(ニコン5100。店員が最初ならこれが良いのじゃないかと推薦)と一緒に購入したニコンの一般的なズームレンズ(これも店員が「風景や波など撮るなら、これでどうかと・・・)。ごらんになった写真はこの最初のカメラとレンズで撮ったもの。
どの範囲のズームだったか忘れましたが、たぶん24~130だったかと思います。
現在のカメラはニコン750(中古品です)。レンズは24~120のズーム。カメラもレンズも最初のものが良かったとときどき思います。遠い波は、撮像範囲をDXに切変えて撮ったりします。
また、撮影後、必要な場合はパソコン付属の編修ソフトで構図を考えトレミングで拡大などしています。画素数がある程度あればトレミングで対応できるのではないでしょうか。
返事が遅れてしまって済みません。。
レンズは、最初に買ったカメラ(ニコン5100。店員が最初ならこれが良いのじゃないかと推薦)と一緒に購入したニコンの一般的なズームレンズ(これも店員が「風景や波など撮るなら、これでどうかと・・・)。ごらんになった写真はこの最初のカメラとレンズで撮ったもの。
どの範囲のズームだったか忘れましたが、たぶん24~130だったかと思います。
現在のカメラはニコン750(中古品です)。レンズは24~120のズーム。カメラもレンズも最初のものが良かったとときどき思います。遠い波は、撮像範囲をDXに切変えて撮ったりします。
また、撮影後、必要な場合はパソコン付属の編修ソフトで構図を考えトレミングで拡大などしています。画素数がある程度あればトレミングで対応できるのではないでしょうか。
返事が遅れてしまって済みません。。
Posted by 流れる雲 at 2023年04月18日 10:49