
2017年07月06日
ギーザバンタの滝~命水(ヌチミジ)の滝
沖縄本島南部にこのような滝があるとは・・・。
この素晴らしい滝は「ギーザバンタの滝」と呼ばれている。
八重瀬町の慶座(ぎーざ)地区にある。高さは25mほどだろうか。
一段目の滝の上にある岩場に登り、2段目の滝の流れに
近寄って撮影。
スローシャターで撮ったら、糸引くようなもっと美しい水の
流れになるだろうなあ、と思いながら不安定な岩場で手持
ちで撮影。
滝に向かって左側の方の流れを正面から見る。
水の流れは強く激しい。岩も尖っており気をつけないと
流れに足をすくわれてしまう。
滝の水はイノーに流れ入り浅い池のようになっている。
溜まった水はやや濁っている。
満ち潮のときなら直接太平洋に注ぐ滝となる。そのとき
海上から見ると素晴らしい光景だろうなあと想像する。
東南東に向いている断崖だが夕陽に映える流れも見れる
だろうか? 夕陽は反対側に沈む。無理か?・・・
いつか来てみたい。
岩の上から水の中に場所を移り、膝まで浸かりしゃがん
だりしながらいろいろと構図を捜して撮影する。
この滝は、土地改良事業によって農業用水確保のため
国が建設した地下ダム(慶座地下ダム)の水がオーバー
フローしたものである。
地下ダムは自然の地下水帯水層への貯水。このため貯水
容量を超えた水が止水壁を超えてギーザバンタの断崖か
ら落ちる滝となる。
慶座地下ダムは比較的貯水容量(21万㎥)が少ないので
雨が降ったりするとオーバフローするという。
5~6年前に来たときは水量が少なかった。今回は梅雨の
後なのが良かったかも知れない。
沖縄本島南部には地下ダムが2カ所ある。この慶座地下ダム
と米須地下ダムである。貯水容量は米須地下ダム(181万㎥)
が大きい。米須地下ダムは平地にあるのでこのような景観は
みられない。
両方の地下ダムの構造等については、沖縄総合事務局の
HPで検索できる。
なお、『沖縄本島南部農業の歴史的転換点、「米須」「慶座」
両地下ダムの建設』大塚義人氏論文からは、地下ダムの建
設がいかにこの地域の農業を大きく変え発展させたかを知
ることができる。
雨や台風だのみだった零細で不安定な農業を地下ダムの
水は飛躍的に安定させ生産性を向上させた。
食物を「命薬」(ぬちぐすい)という。それにちなみ、その食べ
物を生み育てる地下ダムの水を土地改良区で農業を営む
方々は「命水」(ぬちみじ)と呼び称している。
地下ダムのオーバーフロー水が滝となったギーザバンタの
滝は命の水があふれ出たものである。
「命水(ぬちみじ)の滝」と別称していいだろう。
米国人の若い男女が、水着姿になり滝の中に入り写真を
撮っていた。
地下ダムはアオコなどが発生しにくく水質は衛生的で良好、
通常の井戸水同様に利用できる、また、南部水道企業団
もこの地下ダムから取水していると関係者はいう。
(追)
地下ダムの地上は畑作地域である。農薬のことが気にな
る。南部水道の関係者は水質検査が毎月行われているが
農薬の検出はないと話している。
滝への行き方
滝がある慶座(ぎーざ)断崖の上近くまで車で行ける。
平和祈念資料館裏の道路を摩文仁浄水場に向けて進む。
ザ・サザン・リンクスゴルフクラブの金網沿いからも来れる。
断崖の上一帯は慶座地区の農地改良地域。キビ畑などが
多い。車で通るだけでは滝があることは全く分らない。滝も
見えない。
滝の上部。
金網ごしに海を眺めることができる。
断崖の上の方から滝のすぐ右脇(写真では左側)を
崖下にある旧い貯水設備(滝から20mほど離れて
いる)への通路がある。
海まで下りる径はないが、下りることは可能。
急な斜面で滑りやすい。草が茂りぬかるみ、岩で足
場は悪い。おそるおそる下ることになる。
※ ※ ※ ※
糸満市摩文仁の健児の塔の方から、引き潮の海岸に
下りて干瀬を歩いて(約2.2km)も滝の方まで行ける。
また、八重瀬町の玻名城ビーチの方からも干瀬を渡っ
てこれる(約2kmほど)。
いずれの方からもかなりの距離がある。潮の満ち引の
時間を調べておくことが必要。大潮の時なら安心。
以下の写真は、健児の塔下の摩文仁の海岸から~
ギーザバンタの滝~玻名城海岸までの海岸風景。
健児の塔下の摩文仁の海岸。
珊瑚礁の縁で白く砕ける波の景観はいつまで眺めていても飽きること
がない。この日は白雲もかなり浮んでいた。
サギにはいつ行っても出会う。波打ち際を端から端へ移動しながら
波に寄せられてくる小魚を狙っているようだ。
逆巻く大波が打ち寄せてくる瞬間飛び立つサギの様子は絵になる。
これが撮りたくてよくこの海岸に来たが、いい瞬間には出会っていな
い。400mmの望遠レンズが欲しいが・・夢か?。
アジサシが一羽高く飛んでいた(右上空)。エリグロアジサシのよう
だった。一羽しか見かけなかった。
残波岬の海岸の方からのながめ。ギーザバンタの滝へは
中央彼方の岩場を回って行く。
先の大戦に、この海岸で多くの命が失われたとは思えない美しい海だ。
クロサギが飛ぶ。クロサギは好きだ。
波濤にクロサギが飛ぶ姿は美しい絵だ。
断崖の上(左端)に見えるのは平和記念資料館の屋根。
ギーザの滝まではまだ遠い。
釣り人も多い。
釣り人が釣りを終えて引きあげるときは注意。
そろそろ潮が満ちてくるからだ。ここの海岸は潮が満ち
るのが早い。
カニを捕っている老人がいた。
お湯でゆでて殻をとり、から揚げにするとおいしいという。
コンクリートの構造物は米軍がつくった湧き水の貯水設備
(現在は使用されていない)の壁。天井部分もコンクリートで
覆われていて内部は見えない。
貯水槽から流れ出る水は濁りはなく透明だ。水溜まり場では
二人の小学生の兄弟(先ほどの老人の孫)が水遊びをしてい
た。
壁に開けられた穴から水が勢いよく流れている。
貯水設備の上からの展望。
中南部の海岸では多く見られるノッチでくびれた岩。
大度海岸から渡摩文仁、慶座(ぎーざ)に続く海岸のノッチの
ある風景は美しい。
ギーザバンタの断崖。
この先を曲がると滝が見える。
断崖の上から斜面をイノーに流れる白い滝をはじめて
見るとびっくりする。
遠くの青い山脈は八重瀬町の具志川方面で、
ビーチや具志川城址跡などがある。
ギーザバンターの滝に到着。
疲れたらもう海岸歩きはやめたくなる。
干瀬で会った老人は「滝の方から上がれる」と教えてくれた。
ギーザバンタの滝の脇径から15~20mほど下ったとこ
ろにある古い貯水設備。
滝の脇から下る細径はこの設備へ続く。
断崖の壁からの湧き出る水をコンクリートの壁で堰き
止め貯水している。
(追)
南部水道企業団が以前利用していた設備のようだ。
現在は利用されていない。
上の写真で見える海水の溜まり場で熱帯魚が
泳いでいた。
断崖の壁から湧き出る水。
ギーザバンタの滝(ぬちみずの滝)の水も、地下ダムの
止水壁を越えた水のみでなく、断崖から自然に湧き出
ている水も一緒になって流れている。
大潮の日。釣りや潮干狩りする親子などが多かった。
ここから玻名城ビーチは近い。
クムイ。ここにも熱帯魚が。
玻名城ビーチ側に向かう干瀬からギーザバンタ方面を望む。
中央やや右に白い流れの命水(ぬちみじ)の滝が見える。
玻名城ビーチの砂浜が見える。
このビーチには、八重瀬町の玻名城集落の国道331
号線からザ・サザン・リンクス・ゴルフクラブへの道路
に入り、そのまま進むとたどり着く。
摩文仁海岸から干瀬を歩き玻名城ビーチまで約4km。
所要時間はおおよそ1.5時間。
(追)
インターネットを検索すると、ギーザバンタの滝と
周辺海岸の素晴らしい空撮映像が見れる。
他にも紹介のブログがあるので、この滝はかなり
知られているのだろう。
Posted by 流れる雲 at 19:20│Comments(0)