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2017年03月25日

大国林道を縦断する

 
  大国林道は国頭村と大宜味村にまたがる広域基幹林道。 
  全長35,537.3m。
  カーブ、カーブまたカーブそしてカーブ、さらにカーブといくつもの
  カーブが続く長い林道。たっぷりとやんばるの森の緑を堪能できる。
 
  
 
  大国林道の出入り口

  大国林道への出入口は北側(国頭村)は県道2号線、南側(大宜味村)は
  国道331号にある。

  国道58号線につながる幾つかの林道からも大国林道への出入
  りも可能であるようだが、奥間林道以外の林道からは入ったこと
  がない。

  なお、大国林道への夜間の乗り入れは禁止されているようだ。 



  国頭村側(北側)出入り口
  国頭村の与那と安田を横断する県道2号線の途中にある。
  大国林道の始点である。

  
大国林道を縦断する

  与那・安田を結ぶ県道2号線の中間付近。大国林道の表示板が見える。
  ここが大国林道35.5Kmの起点になる北側の出入り口。
  右折して林道に入る。
  東海岸の安田方面から来る場合は看板は見えないので注意。

       

大国林道を縦断する


  道路幅員は4メートルある。対向車とすれ違っても大丈夫なのであるが、
  急なカーブが多く見通しが悪いカ所も多い。

  最近、車の往来が前より増えている。4~5台くらいの車に
  すれ違う日もある。「わ」や「れ」ナンバーの車も見かける。 
  
  カーブミラーが木の梢で隠れているカ所もある。路面に気をとられ
  ミラーを見る余裕がないこともあるので徐行運転は大事。

  昨年、道路の谷の側がかなり大きく崩落しているカ所があった。
  (現在は修復されている)。雨が多くなると山崩れには注意だ。
   


 大宜味村側(南側)出入り口
  大宜味村の塩屋湾と東村の平良を結ぶ国道331号線の途中にある。
  大保(たいほ)ダム入口の標識がある三叉路である。
  ここが大国林道35.5Kmの終点。

 
大国林道を縦断する

  大国林道へは左折し大保ダムに向かう。
    左折しないで、このまままっすぐ行くと東海岸(東村平良)に出る。



大国林道を縦断する

  国道331号線にある、終点の表示板。
  北側出入口の表示板は平成6年設置。ここは平成23年。17年の間がある。
 
  大宜味村側の大国林道には大きく土砂崩れしたカ所が2か所ある。
  車の走行は可能(17年3月15日現在)。

  大保ダムに向かって100mほど進むと、ダム(管理棟事務所)への入口前に
  十字路がある。そこを右折。ダムを迂回するように約3キロ行くと、鉄製の扉で
  閉じられた林道への道がある。




大国林道を縦断する

  マングースの侵入を防止のための扉。鍵はなく自由に開閉できる。
 



 奥間林道からの行き方
 とりあえず、大国林道の長尾橋と湧き水の出る辺りに行って
 みたいなら奥間林道を利用するとよい。



大国林道を縦断する
 
  国道58号線国頭村の比地橋を過ぎた十字路を比地大滝方面
  に右折する。この十字路から大国林道までは約6Kmほど。



大国林道を縦断する

   比地大滝方面への道を300mほど進む。



大国林道を縦断する

  緑色の案内板(国頭村森林公園)がある。ここを左折する。



大国林道を縦断する
 
  緑の看板で左折し200mほど進むと奥間小学校前のT字路に
  突き当たる。ここを右折し坂を山に上る。



大国林道を縦断する

  坂の急なカーブが続く山の道路を2.5Kmほど進むと、長いと感じ
  た坂もひとまず終わり。
  台地状になる。民家なども数軒ある平坦になった道路を500mほど
  進むと案内板(森林公園、与那覇岳登山)と奥間林道の表示板が設
  置されている。ここが奥間林道の始点。直進する。




大国林道を縦断する
 
  奥間林道を進む。
  林道の右手、樹木の間から遠くに見える青い山脈の
  森の中を大国林道が北から南に縦貫している。



大国林道を縦断する

  曲がりくねった奥間林道を約3Kmほど進むと大国林道に突き当たる。
  与那覇岳登山口前の駐車場のある三叉路である。
 


  奥間林道へは、辺土名トンネルの手前の方から「国頭森林公園」に
  至る道を経由して奥間林道に入る方法もある。
  奥間林道に至るまでの道路はここの方が上りやすい。

 

 
      
   大国林道の全体を地図で分かりやすく表示すると下のとおり。 



大国林道を縦断する




  大国林道を縦断する


  大国林道を県道2号線の北側の始点から入り、南側の終点
  国道331号線までの35.5kmを写真を撮りながら車で縦走。
  一日旅になる。
  
 
  出発! 

  出発時刻は午前11時過ぎ。車の速度は20~25km/h。

  参考に記した所要時間は、景観を撮るためなどで立ち止まった時間も
  含まれています。 
  
  各々の景観の時間的間隔は車で数分~数十分程度の距離。
  めぼしいカ所はほぼ撮っているので、大国林道の全体像がほぼつかめる
  のではないかと思う。そのため、似たような風景のコマに少々食傷気味に
  なるかも・・・。

  なお、景観の間に載せた沢や渓流、トンボや草花など過去に撮ったもの
  もある。この場合、その旨記している。
 
   

大国林道を縦断する
 
  林道内は始点から終点まで舗装されている。
  森を走る林道に抱いていたイメージとはちがった。
 


大国林道を縦断する

  入り口付近はしばらくは視界が開けた道が続く。送電線も見える。
  見慣れた普通の山道。



大国林道を縦断する
 
   数分進むと、周りに高い緑の樹木が多くなり森らしくなる。
  落ち葉が道路脇に吹き寄せられている。



大国林道を縦断する

 
  このように広域基幹林道である大国林道には他の林道
  とつながった三叉路がいくつかある。
  同じような道路幅なので、初めてだとどの道を進むか迷う。

     
    さて、どちらへ行かう風がふく   (山頭火) 

  
  ここはまっすぐ進む。



大国林道を縦断する

  すぐにまた三叉路がある。まっすぐ進む。
    


大国林道を縦断する
 
  そして森らしくなった。
  空が広く見渡せる場所と道路の両サイドに樹木が茂った場所の
  この繰り返しが続く。



大国林道を縦断する

  ヒカゲヘゴが見える。やはり沖縄の森だ。
  天気が良いときは、放射状に広がるヒカゲヘゴの葉が太陽の光に
  輝き美しい。



大国林道を縦断する

  細い木が多い大国林道沿いに、幹周り2。5mほどの大きな木がある。
  大国林道沿いで見た中では最も大きい木だった。名は知らない。
  気になる木だ。



大国林道を縦断する
 
  空が大きく広がり普通の山道の景色になる。

  猪の子が二匹横切っていった。あっという間だったので写真
  に撮れなかった。
  別の場所では、森の中から猪の鳴き声が聞こえた。

  

大国林道を縦断する
 
  道路沿いの木にくくられた赤いリボン。
  何回か見かけると気になる。
  マングース捕獲ワナが設置されている場所の表示である。
  
  やんばるのどこの山道でもこの赤いリボンを見かける。
 
  

  マングース捕獲事業を沖縄県は2000年、環境省は2001年から行っている。

  マングースが特定外来生物に指定された2005年度からは、
  大宜味村塩屋(S)ー〈北上柵〉ー東村福地ダム(F)のライン(SFラインという)
  を設け、このライン以北から2022年までにマングースを根絶するため環境省
  と沖縄県が連携し防除事業を実施しているという。
  (資料「沖縄諸島の外来種」環境省那覇自然環境事務所より)

  資料を見ると、2000年~2014年間で、最も捕獲が多いときは2007年度
  で6000頭を上回っている。少ない年度でも100頭を越えている。
 


大国林道を縦断する
 
  道路脇の茂みの中に捕獲ワナが設置されている。ワナの種類は二つあった。
  これは、生け捕り式の「かごワナ」。



大国林道を縦断する

  別の形の捕獲ワナ。捕殺式の「筒ワナ」。
  マングースの捕獲器に触れるのは危険である。 

  

大国林道を縦断する

  根元から幹が幾つかに別れ大きく拡がる木がある場所に出る。
  シダとマッチしいい景観になっている。
  縦と横、何枚か少しずつアングルを変えて撮った。
 


大国林道を縦断する

  リュウキュウマツが道路沿いに多い。
  自然に生えたものか植林したものかどうかはわからない。
  大宜味村側の出口近くでは素晴らしいリュウキュウマツの
  トンネルに出会う。



大国林道を縦断する
 
  遠く山脈が見える。山の名前を知りたいと思う。
  名が分ればやんばるの森への親しみがさらに増すだろう。
   
 

大国林道を縦断する




大国林道を縦断する
 
  空が大きく拡がった場所に出る。峠を越える感じの風景。
  口笛を吹いて歩きたくなる。
   歌うのは、美空ひばりの「旅笠道中」や橋幸夫の「潮来笠」。
  懐メロ世代の旅の歌。

    午前11時37分。もうすぐ正午。



大国林道を縦断する

  濡れて黒ずんだ道路に白い花が無数に落ちているのが目につく。
  大きさは2~3センチ。見上げると清楚な白い花が数多く咲いている
    3メートルほどの高さの木がある。

  

大国林道を縦断する

  あとで調べたらエゴノキという名だとわかった。
  材は漆器や将棋の駒などに利用されているという。




大国林道を縦断する

  エゴノキの近くの道路脇。草むらには野イチゴの白い花が咲いていた。
  葉の形からホウロクイチゴ。方言名はウフイチュビ、大きな葉っぱ
  のイチゴという意味という。何を恥じらってか、花はみな下向き。


  うりずんの頃になると、野山は白い花の草や木が多く見られる。 
  イジュの花もこれからやんばるの山を彩る。楽しみだ。
 

  沖縄の代表的なイチゴは3種類あるそうだ。
  リュウキュウバライチゴ、リュウキュウイチゴ、 ホウロクイチゴ。葉の形で
  見分けがつく。




大国林道を縦断する
 
  リュウキュウバライチゴ(方言名 サングヮチイチビ)。
  これは別の山で昨年撮った(2016,2,3)。
  葉の縁が鋸歯(きょし)状になっている。

 

  ホウロクイチゴは3~4月に花が咲き、4~6月に赤い実をつける。
  子どもの頃、ホウロクイチゴ(山ウフイチュビ)を採りによく仲間と山
  に登った。ハブ避けの棒で草むらをたたきながら。



大国林道を縦断する
 
   ホウロクイチゴの実(2014,5,11)



大国林道を縦断する

  完熟した実(2016,5,21)



大国林道を縦断する

  リュウキュウバライチゴの実。 (方言名 サングヮチイチビ。2014,4,27)



大国林道を縦断する

  リュウキュウバライチゴの実。実は茎の先に2~3個つく。

  

  温かくなると花に蝶が訪れ、赤い実が熟すと小鳥がやってくる。
  そしてハブが小鳥を狙ってやってくる。
  野イチゴを撮ったり、摘んだりするには気をつけないといけない。




大国林道を縦断する

  ヒカゲヘゴの丸い芽が陽に照らされていた。
  この形を猿の尻尾のようだと言う人もいる。

  この猿の尻尾が開き始めると、開いた葉先がさらに美しい形を見せる。

  




  言葉では綴れない自然の造形の美。
  野山や森を歩くと見つけ触れ撮る喜びがある。
  北部へのドライブがてらに大国林道を通り抜けるだけではもったいない。

  森の息吹を感じながら歩く1日旅をしたいものだ。
  

  青空が広がってきた。雲がゆっくりと流れている。
  同じ場所に長居すると帰りの時刻が気にかかる。




大国林道を縦断する
 
  前方に桜の木が植えられた場所がある。「ふれあい広場」だ。
 
 

大国林道を縦断する
 
  ふれあい広場の駐車場。
  北側入口から広場まで、車を降り写真を撮ったりしながら約50分前後。 

  広場には林道開設の碑、休憩所そして散策路がある。
  


大国林道を縦断する
 
  ふれあい広場正
  広場は生い茂ったススキなどで囲まれ、ただの空き地という感じ。
  もとは大国林道工事のときの土砂置場だったところらしい。
 
  前方の山は上の方だけが見える。山裾が見えないのが残念。
  広場の後方の雑木林の中に散策路がある。雑草が茂り歩くのは躊躇する。

 
 
大国林道を縦断する

  16年にわたる長期の工事で開通した大国林道の記念碑。
  工事期間:昭和52年~平成5年、総工費:45億9千万円
  と碑の土台に刻されている。
 


大国林道を縦断する
 
  記念碑の前(駐車場の桜の木の後方)の高くなった場所に休みどころがあった。
  午前11時50分。
  散策路はこの東屋の横から始まり、碑の後方の藪を通り、ふれあい広場の
  右手にある桜の後方に出る。 



  昼飯は車の中。ペットボトルのお茶とサンドウィッチを車を走らせながら。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  林道沿い、葉陰の奥に沢水が流れ落ちている。

  大国林道の下の暗渠を通り東から西に流れる沢がいくつもある。
  清流のいい絵が撮れないかどうか、沢や渓流には目が行く。
  車を下りてのぞき込む。
  
  小さな流れでも、構図を工夫するといい絵ができるので好きだ。



大国林道を縦断する

  だから、しばしば立ち止まり森をのぞき見する。 
  



大国林道を縦断する

  ある写真月刊誌3月号(2017年)にプロの写真家が撮った大国林道の
  写真記事が載っていた。その中の写真の一つに星空に映えるヒカゲヘゴ
  のシルエットの美しい写真があった。場所はひよっとしたらこの辺りか?




大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  林道のアスファルトに写る影が美しい。これは昨年7月に撮ったもの。
  車を下りて歩いていて気づく影絵だ。

  
  空をわたるカラスの影が写ることもある。あっという間なので写真
  には撮れない。
 

  カラスが樹から飛び立つときに糞をポタリと地上に落とすこともある。
  めったに遭遇しない空からの贈り物。        


  カラスの鳴声は夕暮れちかくなるともの悲しく聞え心細くなる。山に
  慣れていないので早く帰りたくなる。         


  

大国林道を縦断する
 
  沢がまたある。のぞき見する。水量は少ない。
 

  
  沢と渓流の区別がよく分らない。ここでは、大国林道沿いで見かけた
  小さな流れについては沢として説明している。
  ただし、説明板で「渓流」と呼ばれている流れがあるので、その流れ
  と同様の規模の場合は渓流の用語を使った。




大国林道を縦断する

  沢の流れを見たり撮ったりしながら、青空が広がるU字のカーブ
  を進む。




大国林道を縦断する




大国林道を縦断する
 
  民有林林道の伊地線(国道58号線へ5.7km)が合流する三叉路。



  大国林道には次の7つの林道がつながっている。
  与那林道、伊地林道、奥間林道、比地林道、浜林道、謝名城林道
  そして大宜味林道。

  写真を撮るために大国林道に来るときは奥間林道を利用する。景
  観の良い渓流や湧き水の水汲み場に近いからだ。

  

大国林道を縦断する

  このような見通しの悪いカーブが多い。
  道路沿いにヒカゲヘゴが多くなった。
  


大国林道を縦断する
 
  頭上を覆う緑のトンネル。良い気持ちだ。こころが潤う。
  すがすがしさや優しさを感じさせるヒカゲヘゴはやはりいい。


  縦の構図でヒカゲヘゴのトンネルを撮る。林道沿いのヒカゲヘゴを撮る
  にはここは良いスポットだ。
    
 
  次の写真(5枚)は、昨年の夏7月にここら辺りを歩いて撮ったもの。



大国林道を縦断する
 



 
大国林道を縦断する
 



大国林道を縦断する
 

 

大国林道を縦断する
 

  陽の光がスポットライトとなって美しく葉を照らしている。




大国林道を縦断する
  

  このような情景を見つけるには日射しが森に斜めに入る早朝や
  夕方の時間がいい。  




大国林道を縦断する

  ヒカゲヘゴの多い場所を抜けて進むと、左手が広く開けた場所に出る。
  与那覇岳、伊湯岳、玉辻山の西側の中腹を縦貫している大国林道で 
  左手が開けているのは、唯一ここらの場所だけ(だったと記憶している)。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  撮っているといきなりザワザワザワーとわき起こる音に驚かされ
  るときがある。谷を吹き上げ尾根をわたり林道に入り込んでくる風だ。

  前触れなく急にザワザワァーと辺りの木の葉が音を立てると、
  何か襲ってくるのかぎくっとさせられる。



大国林道を縦断する

  大国林道と「道の駅ゆいゆい国頭」方面から上がってくる奥間林道(3Km)
  とが合流する三叉路。午後1時22分着。

  写真左側に見える白い説明板の向こう側に、与那覇岳登山口の
  駐車場がある。(下に写真)。
    
  北側入口を出発してからここまで、車を降りて写真を撮ったりし
  約2時間経過。



  県道2号線から ここまでの距離は10Km。
  終点の国道331号線には 残り約26Km。


  遠い。ここまでの道中を退屈に感じた方は、林道縦貫は諦め国道
  に帰りたくなるだろう。
 

  しかし、あるいはもう人生に一度しかないかも知れない。初心を貫
  こう。きっといい思い出になる。




大国林道を縦断する
 

 

大国林道を縦断する

  大国林道と奥間林道の交わる三叉路の一角。
 
  駐車場にエコトイレ(案内板の後。木製の小屋風)が設置されている。
 
  この駐車場にはよく車が停まっている。与那覇岳の登山者や森で
  何らかの調査や趣味の写真を撮っている方などの車であったりする。

  ここに車を置いて、森林浴を楽しみながら眺めのよい長尾橋や大国橋
  あるいは水汲み場まで林道を歩いてみるのもよい。

  右手の数メートル先に与那覇岳登山口がある。  




大国林道を縦断する
 
 与那覇岳(503メートル)の登山口。駐車場から30mほど先にある。
  
  与那覇岳にはまだ登ったことがない。
  山頂は樹木で覆われ四方は見渡せないそうだ。
  下山の時に道を間違えて迷う登山者もいるという話を聞いた。

  与那覇岳を知る案内者同行での登山を地元関係者は推奨している。
     

  (追)

大国林道を縦断する
 
  与那覇岳登山口の道。車両の乗り入れは禁止されている。
  奥の方に登山者が二人、周囲の草木などを観察しながら
  ゆっくりと歩いていた。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する


  与那覇岳登山はいつかの機会に期して、さらに
  大国林道、残り26キロの南下を続ける。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する
  周囲に続くヒカゲヘゴが森の雰囲気を感じさせる。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  大きなUカーブを過ぎると視界が開ける道になるカ所が多い。





大国林道を縦断する

  車を下りて見返るとその中をくぐってきた森が見渡せる。



大国林道を縦断する
 
  この緑のイタジイの木のてっぺんが集まった形が、野菜のブロッコリーに
  似ていることから「ブロッコリーの森」と言わる。




大国林道を縦断する
 
  林道の両サイドに、またヒカゲヘゴが多くなる。
  森の香に癒やされる。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

 


大国林道を縦断する
 
  やはり車の中から眺めながら通りすぎるより林道をゆっくりと歩きたい。  
  木漏れ日に照らされた老木の幹で芽吹いている葉。
 


  詩人の谷川俊太郎が次のように語っている。

  
  「散歩していて、ふと道端の草の葉っぱなんかに目がとまることがあります」
  「ふと目がとまるのは、その葉っぱの存在に何か心を打つものがひそんで
  いるからだと思います。 葉っぱの色、形、手触り、もしかすると匂い、そして
  私たちの五感ではとらえきれない波動のようなもの。 
 
  また、葉っぱを感じるとき、大気や大地や太陽や風も同時に私たちの心に
  入ってきています。
  私たちはそうとは意識せずに、なんでもない一枚の葉っぱに、美しさと呼ぶ
  しかないものを感じているのだと思います。・・・・何かをじっと見つめること、
  それはその存在に心がより深く入りこむことです」

  詩人はうまいこと言うなあと思う・・・。




大国林道を縦断する
 
  土手にシダ類が多くなる。

 
  ヒカゲヘゴの多い緑のトンネルを進む。



  与那覇岳登山口駐車場から約6.5kmほどの距離に、 
  白いコンクリートの壁が見えてくる。


  大国林道にある唯一のカフエ。
  「Okinawa Rail」である

  午後1時42分着。登山口の駐車場から20分ほど。
 


大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  南側から見たカフエ。駐車場は道路向かい。車数台分のスペース
  がある。
 
  森の環境を守るための厳しい建築認可条件をクリアし、2016年
  11月末にオープン。
  
  使用した汚水は貯めて蒸発させる設備になっているそうである。
  カフエの入り口も自然のままの土手である。
  


大国林道を縦断する

  カフエ名の「OKinawa Rail」は、ヤンバルクイナの英語名という。
  月と火曜日は定休日となっている。
  民宿やんばるくいな荘(名護市辺土名)はネットで検索すると出てくる。



大国林道を縦断する

  森に囲まれた中庭がある。この庭で演奏会などを行いたいと
  経営者は夢を語っていた。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  壁いっぱいに設置された経営者の思い入れのある本棚。



大国林道を縦断する
 
  家族連れがいた。女の子は本棚の「グリとグラ」を読んでいた。
  コーヒー、ケーキ、自家製の新鮮な野菜のサラダなどの軽食があるという。
 


  少し休みたかった。本棚の本も見たかったが、
  写真を撮っだけでカフエを後にする。



大国林道を縦断する

  これまでよりも森が深くなった。
  樹木の中からイノシシの声が聞こえてきた。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する:::::




大国林道を縦断する

  カフエから車で15分ほどの距離に水汲場がある。
  大国林道には二カ所の水汲場があるが、そのうちの一つである。
  
  この水汲場のパイプは、沢の中を山の上の方に伸びている。
  採水をどのように行っているかは見えない。
 
  ここで水を汲んでいる人を見たことがある。生で飲めるかどうか
  聞いたことがないのでわからない。



大国林道を縦断する

  水汲場の斜め向かいにある駐車場。後方は谷。
  奥間川? 心地よい流れの音が聞こえてくる。
  この駐車場の辺りは15mほどの高さの樹木がそびえ立って
  いて気持ちがよい。鳥のさえずりもよく聞こえる。



大国林道を縦断する


  与那覇岳登山口方面から来ると、最初に出会う水汲場なので、
  水汲場が二カ所あることを知らないと、噂に聞く大国林道の水
  汲場をここだと間違う人もいるかも知れない。

    噂の水汲場は、さらに南下し橋を二つ越える。

 
 
大国林道を縦断する

  最初の水汲場から2分ほど進むと道路沿いに沢が見える。
  手前はかなり広い。流れの上流の方の幅は狭くなっているように見える。 
   
  ピンぼけの写真になってしまった。



大国林道を縦断する

  あらためて目の前の岩間の落水を、道路の上から撮った。沢に下りて、
  もう少し低いポジションで撮ればいい絵になったと思うが、沢に下りるに
  は草木が邪魔していたので気が進まなかった。
 
  水場ではハブが気にかかる。   



大国林道を縦断する

  上の写真の沢がある場所(正面のガードレールの奥。逆方向から撮影)。
  このような感じなので、車で通るだけでは気づかない沢や渓流もある。    



大国林道を縦断する

  緑のトンネル。両脇の土手にシダが群生している。
  ヒカゲヘゴも両サイドに多く生えている。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  カーブミラーのある場所に、森の中に入る細い径があった。
  午後2時24分。カフエから25分ほどの距離。
  行き過ぎたが気になって引き返す。 
  

 
大国林道を縦断する

  先の様子は道路側からは分らない。10メートルほど奥に
  沢があった。森の奥には入らないことにしていたので、
  今回始めて知った。
   
   

大国林道を縦断する
 
  かなり広い渓流があった。
  前方の緑の樹木のある場所が林道側になるが、全く林道は見えない。
  流れは前方の樹木のあるところで、林道の反対側の谷に流れる。



大国林道を縦断する

  幅は6~7mほどある。渓流の床は平坦。先は右にカーブして見えない。
  さらに進んでみると、流れはなお平坦で上流に続いている(下の写真)。   



大国林道を縦断する

  上の写真のカーブした流れの先の景観。   



大国林道を縦断する

  渓流を見ての帰り径から林道の方を撮る。
 


大国林道を縦断する

  さらに2分ほど車を走らすと、車窓から見れる沢がある。
  流れ落ちる高さは1mくらい。。  


  昨年、この同じ場所で雨天後の水量が多いとき沢に下りて正面や低めの
  ポジションから撮ったことがある。(下の写真A、写真B)
  

大国林道を縦断する 
   写真A



大国林道を縦断する
  写真B  

  近く寄って画面いっぱいに入れて撮る。
  周囲が切り取られて様子が分らなくなると美しい滝の絵になった。 



大国林道を縦断する


  写真Aの中央からやや下に小さく見える)、水苔のようなものでべったり
  と黒っぽくなった岩の上にシダが生えている。そのみずみずしい緑が
  美しかったので近寄って撮った。  


  沢は、水量が少なくなっていたり、流れを折れた枯枝や枯葉などが
  覆っているなど大きく様子が変わっていることがある。また、道路側
  の草木が生い茂っていると沢が見えず車からは見過ごしてしまう。 



大国林道を縦断する

  さらに前進。大国林道縦走の旅を続ける。



大国林道を縦断する

  土石流防止の鉄柵が設置されている沢。 
  

  昨年9月、この場所の道路沿いで蝶やトンボを撮っていたら、
  通りがかった車の方が、窓から腕を伸ばし沢の方を指さして
  コノハチョウだと言う。

  その指す方向を見ても私には見えない。何回か指さされやっとそれら
  しき影を沢の木の葉に見つけた。近寄ったら逃げられてしまった。
  コノハチョウを見たことがない目には、目の前にいても分からない。

  この日はコノハチョウは撮れなかったが、後日、ふれあい広場を過ぎた
  辺りの林道沿いで見つけ、初めてコノハチョウを撮ることができた
  (下の写真)。




大国林道を縦断する

  2016,7,3 コノハチョウ



大国林道を縦断する
 
 2016,7,3 翅をひろげたコノハチョウ


  
大国林道を縦断する
 
 2016,7,3 ルリタテハ



大国林道を縦断する
 
 2016,7,3 翅をひろげたルリタテハ



大国林道を縦断する

  2016,9  イシガケチョウ



大国林道を縦断する
 
  2016,9  ときどき沢で見かけたトンボ。なんという名だろう。
         


大国林道を縦断する
 
   2016,9 初めて見かけたトンボ。



  大国林道にはチョウの種類は多い。もうすぐ暖かくなれば現れるだろう。
  気温16~17以下ではチョウは飛べないという実験があるそうだ。


 
  
大国林道を縦断する


  柵が設置された沢を過ぎると、比地林道(右手の道路)との合流地点に出る。
  時刻は午後2時47分になっている。
 
  
  ここら辺りが大国林道のほぼ中間点。
  表示板に「中間点15.4Km」と記されている。   



 中間地点を過ぎると橋が見えてくる。午後2時57分。
 比地川上流の谷に架かる二つある橋の最初の橋は長尾橋だ。
 


大国林道を縦断する
 



大国林道を縦断する

  長尾橋 橋の長さ133m、高さ49m。
  橋の前に4~5台分ほどの駐車場がある。


  駐車場に車を停め橋に歩いて行く。橋の両側から広くやんばるの森が
  見渡せる。大国林道では最も視界が開け眺望がよい場所。
  意外と人気がある橋のようだ。知らなかった。

 


大国林道を縦断する
 
 長尾橋から与那覇岳方面を望む景観。
  


大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  長尾橋から谷をのぞく。
    比地川の流れの上にヒカゲヘゴの傘が開いているのが面白い。
 
  欄干が低い(腰の高さくらい)ので、写真を撮ろうと谷川を無理してのぞき込む
  のは危険だ。




大国林道を縦断する

  比地川は西に流れ東シナ海に入る。比地大滝はこの下流にある。




大国林道を縦断する

   


  やんばるの森を眺望し写真も撮った。森の空気を思いきり吸い
  満足したら出発。


  数分でもう一つの橋が見える。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  大国橋
  橋の長さ69m。高さは27m。駐車場はない。
   同じ川に架かる橋なのにこちらは人気がないようだ。印象も薄い。
   少し気の毒だ。




大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

 大国橋は谷からの高さが27mと低いので、谷の樹木の頂が間近に
 迫って見下ろせる。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する
 


  二つの橋を渡り比地川の流れの音を聞きながら、5分ほど車を走らすと
  水汲場がある。
  時計の針は午後3時05分。
  与那覇岳登山入口からかかった時間は、長尾橋で森の景観を楽しんだ時間
  も含め約1時間半前後である。


  ここの湧水を求め遠く那覇、浦添や中部などから水タンクをいくつも車に積み、
  定期的に大国林道に通っている人たちがいる。
 
  ここは知る人ぞ知る名水の湧く水汲場である。



大国林道を縦断する

  土手の中にパイプを打ち込んで採水している。
  
  この場所の土手がいつも湿っていることから、パイプを打ち込んだら水が流れ出た
  ので水場に整備されたという話を水汲みしている方から聞いた。
 


大国林道を縦断する


  水は森の時間のようにゆっくりと静かに流れ落ちる。

 
  この場所で水を汲んでいる老夫婦に出会ったことがある。
  ここで顔を洗ったことはあったが飲んだことはなかったので、そのまま飲めるか
  と聞くと飲めると言い、私のお茶の空ペットボトルに水を入れてくれた。


  お茶にして飲むのかと尋ねると、
  「冷やしてそのまま飲む」
  「ここの水は大学の先生が調べて大丈夫だと言われている」
  「森の腐葉土の中を通過してくるうちに濾過されている」
  「羽地ダムの方にもあるがここが一番うまい」と教えてくれた。ずいぶん詳しい。


  飲んでみるとおいしい水だ。


  沖縄市から来たという外国人の車が順番を待っていた。
  おいしいと口コミで知られた人気のある湧き水なのだ。


  老夫婦は、水を汲む人が多くて、汲み終えて帰ったときは翌日の3時頃
  だったこともあるという。一夜を森で過ごす価値のある水なのだ。

 
  浦添からは遠いが、森林浴も兼ねて月に1回は来ているという。
  1カ月分の水だからタンクやボトルの数は多い。 
  水もゆっくりと流れ出ている。溜めるのに時間がかかる。


  腰掛けも持参しゆったりと水の流れを見つめ時を過ごす。

 
  私のペットボトルに水を入れてくれた方は、
  ここでは水を汲む順番をゆずらないというルールがあると教えてくれた。
  待ち時間を考えると理解できる。

 
 
  去年、この水場で出会った若い夫婦もかなりのタンクを車に積んでいた。
  コーヒーにして飲むとおいしいと話していた。   


  水を汲む人を見ないことも多い。たまに多くの方が同じ日に来てかち合った
   ときが何時間も待つことになるのだろう。

   
  お茶の空いたペットボトルに汲み持ち帰り、冷蔵庫で冷やして飲んだ。
  店で買うペットボトルよりおいしかった。
  実にまろやか。ほのかに甘みもある。名水と思う。
 

    こんなにうまい水があふれている 

                            (山頭火)



大国林道を縦断する
 
 水を受けている黄色のポリバケツには次のように大きく書かれてある。
 

   水汲みの方へ 投げすてはやめよ。 
   比地村より ゴミは少しでもすてるな。
   ここは国の森です。国頭村観光センター 




       
大国林道を縦断する
 
  去る3月末に行ったとき出会った方。宜野湾から息子さんと二人
  軽トラックで水汲みに来ていた。写真を撮っていいですよと言っ
  てくれた。


  もう20年くらい通っている(息子さんは「車で入れるようになった頃
  から来ている」と話す)。以前はおじいさんと来ていた。今は息子と
  来ている。
   

  いつもは夜の9時頃来る。3時間ほどかけて汲み、帰るのは午前の
  3~4時頃になる。以前、ここの湧き水のことがラジオで放送されて
  から来る人が多くなった。今は前より来る人は少なくなった。


  来るのは年配の方が多い。三味線を持ってきて弾きながら水汲み
  をする人、コーヒーをわかし飲みながら汲む人たちもいるという。
  大学の先生が来たこともあったと語る。

  
  水汲みのルールのこと訊ねると、
  ボトルを1~2本しか持っていない方などに、水汲みの順番をゆずる
  ときは、順番を待っている人全員の承諾をもらうのだと息子さんは言う。 

            


大国林道を縦断する
 
  大保ダム方面から北上してきたときの同じ水場の全景。 
  
       
  道路の左手、樹木やヒカゲヘゴが茂っている谷から比地川の渓流
  (渓流には下ることができる。下に写真掲載)の音が聞こえてくる。

  この水場のある一帯は、長い大国林道の道のりでも憩える場所だ。

 


大国林道を縦断する


 水汲み場の真向かい。
 ヒカゲヘゴが涼しさを感じさせる。喉は水で心はヒカゲヘゴで潤う。
 5メートルほど下は渓流。左側の方から下りることができる。急な斜面であるが、
 樹木にロープが繋がれている。それをつかんで下る。


 昨年、地元の年配の男性が一人、谷の斜面に散らばるペットボトル、ビニールや
 粗大ゴミなどを拾い集め清掃しているのに出会ったことがある。
 ボランテイアで行っているという。
 
 水場をゴミで汚したりガードレール越しにゴミが投げ込まれているのだ。



大国林道を縦断する
 
 ガードレール下の渓流。比地大滝の上流の一つ。

 去る3月初めに、年配の女性とその娘さんの女性二人ずれで大国林道を
 ドライブしている親子に出会った。
 娘さんが、この渓流に下り携帯で写真を撮ったり、水面を泳ぐアメンボーの
 ような小さな生物を見つけたりと子供のように喜んでいたのを思い出す。


 おいしいやんばるの森の水で喉も潤った。
 ペットボトルに水を満たし、しばし木陰で憩う。
 


大国林道を縦断する

 水場から30メートルほど先のカーブ。車が駐車している先に渓流がある。
 ここが好きで何回か写真を撮るために通った。



大国林道を縦断する   
 
  道路から渓流は見えない。うっかりすると見逃し通り過ぎてしまう。
  駐車スペースがあるのが目印だ。

  

大国林道を縦断する

  駐車スペースの奥から渓流に下る細い径がある。滑りやすい。
  ここの流れは林道の下の暗渠を流れ水場の前の谷の渓流に合流する。  


  ハブに用心しながら下り、下りてからもハブには気をつける。
  林道の森で何名ハブに咬まれたという話を聞くと慎重になる。

  
  昨年出会った恩納村の漁港で釣りをしていた青年は、山に行くときは棒を持ち
  ハブを追い払うように周りを叩きながら山道を進むという。


  昨年、真喜屋ダムの近くにある滝への途中で出会った男性は、手に
  ススキの葉でつくったサン(魔除け)を持っていた。以前、登山で森に迷い
  ひどい思いをしたからだという。
  ハブ除けにも役立つだろうか。男性と別れたあと、ススキの葉でサンを
  結ぼうとしたが出来なかった



  渓流に下りる。
  二つの流れ(写真Cと写真D)が合流している。
  
 

大国林道を縦断する
 
  写真C 渓流に下りて左手側(幅は広い)。

   

大国林道を縦断する
 
   写真D もう一つの流れがある。この方は幅はやや狭い。


   以下の写真は、昨年の9月、2回通って撮ったもの。 
   合流地点の広さは7~8メートル四方くらいだろうか。

   濡れた滑りやすい岩場で靴を濡らさないように撮るのは難しい。
   靴のまま流れのなかに入りポジションを変えて撮った。
   
   靴を脱ぎ靴下のままで水の中にはいると、滑らないことを後で
   知った。やってみたら確かによい。靴も濡らさないですむ。



大国林道を縦断する

  水の中に入り低い位置から撮る。
 


大国林道を縦断する
 
    上の写真と同じ岩場を別の日に撮った。次の写真も同じ。
   同じ対象でも切り取り方を変えると迫力が増す。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

 
  流れ沿いに絵になる構図を探す。



大国林道を縦断する

  水音にシャターの音。気分がいい。
  撮り続ける。



大国林道を縦断する


  水の雫に濡れたシダの葉を組み込む。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  奥の岩の上に一片の枯れ葉をみつけた。
 
  絵としては紅葉した枯れ葉がもっと欲しいと思う
  が、これはこれで満足する。



大国林道を縦断する
 
  つかの間、樹木の間から陽光が差し込んだ。
  この日でもっとも気に入った絵。



大国林道を縦断する
 
  勢いよく流れる水に心が洗い流され清くなる。 



     長く長く忘れし友にあふ如き喜びをもて水の音聞く
                         
                          (石川啄木)    
          
    

大国林道を縦断する
 
 いつまでもとどまって流れの音を聞いていたくなる。



大国林道を縦断する





大国林道を縦断する



  島崎藤村の詩『胸から胸へ』(其の四)に水の流れを詠んだ
  フレーズがある。水の流れを見るとよく思い出す。
  全体は恋の詩だが、「北のかた水去り帰り・・」の節がいい。

  
     北のかた水去り帰り
       昼も夜(よ)も南を知らず
         あゝわれもまた君にむかひて
     草を藉(し)き思いを送る  

 
 
  ゲーテには「水上の霊たちの歌」という詩(竹山道雄訳)。


     人の魂は          
     水に似る。
     空よりきたり
     空へとのぼり
     かくてふたたび 
     地に降(くだ)る。
     とこしなえに循(めぐ)りながら。 



  上流から下流に流れ続ける渓流。岩に腰掛けその流れを見つめて
  いると過ぎ超してきた人生に思いがめぐる。                  

 

 
大国林道を縦断する


  渓流の写真を撮るために大国林道に行くときは、大保ダム方面からの
  ルートでは時間がかかる。このため、国頭村の「ゆいゆい道の駅国頭」
  の方から奥間林道を利用している。



大国林道を縦断する
 
 渓流を後にする。群生するシダと落ち葉が森の気分を高める。
  
 

大国林道を縦断する

  昨年6月に撮ったノボタン。
  6月頃にやんばるの野山の路傍で最も多く見かける花の一つ。
  大国林道沿いにも多い。ピンク色の美しい花だ。



大国林道を縦断する
 
  樹木に囲まれ似たような風景が続く。
  渓流のせせらぐ音が車の窓越しも聞こえてくる。心が洗われる。
  流れの音が緑色に思えてくる。  
 

     
       ひとりあるけば山の水音よし  (山頭火)      
    
  
  流れの音は歩きながら聞きたい。山頭火のように。




大国林道を縦断する

  空が明るくなった。ふと見上げるとシダの葉が頭上に。


 
大国林道を縦断する
 
  大きなUカーブの向こう側の道路(ガードレール)が見える開けた場所。
  下の写真のカーブから続いている道である。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  水汲場から約15分前後、三叉路が見える。
  浜林道との合流地点である。左手を進む。


 
  やんばるの山や森には舗装されていない小さな林道も多い。 

  『やんばる自然のあしび手帳』(環境省やんばる野生生物保護センター)は、
  「林道へはうかつに入り込まない」ように注意している。


  「林道は道幅がせまく、ルートも分かりにくく複雑です。すれちがい時に、
  路肩にはみ出したりするのも、事故のもととなり注意が必要です」
  と理由が記されてある。

  大国林道につながっている村管理の林道で、「国道58号線に〇〇km」
  と出口が表示されている林道の場合は大丈夫かと思うが、舗装されてい
  ても雑草に覆われて道幅が狭くなったりしている場合があるようだ。
  
  


大国林道を縦断する

  同じ場所を逆方向から撮る。
  南(大保ダム)側から来た場合はこのように見える。どの道を行くべきか迷う。
  南(大保ダム)側からは右の道が正解。
  遠くからは舗装されていない道路に見える。




大国林道を縦断する

  標識があるが、右か左かの選択のところで、県道2号線へは直進の矢印
  となっているので迷う。県道2号線へ(つまり大国林道)は右側を行く。
 


大国林道を縦断する

  先ほどの三叉路の30mほど前方に同じ方向に向かう二つの道がある。
  初めて通るときは、どの道が出口への道か迷う場所。
  写真の車のように右側の道を下る。



大国林道を縦断する
    



大国林道を縦断する

  立並ぶ細い樹木の緑の壁。



大国林道を縦断する

  ひんやりとした空気を漂わせ心地よい。
  緑のトンネルの下にしばらくとどまっていたくなる。


    
        深呼吸     (ましきみちこ)

               森の中で深呼吸をする
               ここは山原(ヤンバル)
               ハブも青大将もそれぞれの暮らしに忙しく
               人間の出現には関心がありません
             木もれ陽さして
            キラキラと
           熱を放散した風は涼しく
          サラサラと
        ゆっくり
       ゆっくり
     息を吸って
    緑も一緒に吸い込んで
  臍下丹田(せいかたんでん)に
      ぐっとそのまま息を溜めて
    四秒間しっかり溜めて
      それから
        ゆっくり
          ゆっくり
           息を呼(は)き出します
             毛細血管に至るまで
               からだの中で働き終わったCO2も
                 全部一緒に
                   ゆっくり
                     ゆっくり   
                       呼き出します 


             
           ましきみちこ詩集『猫のいる風景』より)
              


  ※「臍下丹田」は、臍から指で二つほど下のカ所。
    肺呼吸するのでなくて、臍下丹田で呼吸(腹式呼吸)する。健康に
    いいそうだ。




大国林道を縦断する

  ヒカゲヘゴは一本でも絵になる。ついカメラを向ける。
 


大国林道を縦断する
 
  正面にイイギリの木。3月初め。ブドウの房のような赤い実が付いている。
  路上には小さな丸い実が多数落ち黒ずみ朽ち初めていた。

  林道で一緒になった、くだんの親子は、落ちたイイギリの実を手にし
  味わっていた。私も口にした。旨味はなかった。水っぽい。



大国林道を縦断する

イイギリの実。




大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  道路脇の溝に流れ落ちる沢の水。



大国林道を縦断する

  上の写真の沢の横にあった距離標識。
  このような標識が何キロかおきに道路沿いに設置されている。 
 


大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  謝名城林道との合流地点。


 
大国林道を縦断する

  終点まで9km。かなり来た。

  もううんざりだという気分になり、国道58号線に抜けたくなる思い
  もよぎる。謝名城へも8km。1kmの差しかない。
  気持ちを切り替えて進む。心は持ちよう。



大国林道を縦断する

  30mほど奥ゆきがあり車で入っていける場所がある。
  この先には沢がある。  


大国林道を縦断する

  奥はちょっとした広場。前方に沢の流れ。うっそうと樹木が茂り
  手前の水場以外の様子がわからない。右側の側溝から水は流れ下る。  



大国林道を縦断する

  落ち葉や草木で雑然としているが、水は清んでいる。水量は少ない。
    


大国林道を縦断する

  山崩れがある。
  道路の上に拡がっていた土は片付けられたが、数年前からこんな感じ。 
  赤土は「国頭マージ」 

  ここをしばらく進むと2カ所目の山崩れがある。
  林道開設前から山崩れはしばしば起きているという。

  赤土の崩れた斜面をすぎると終点はもうすぐだ。ほっとする。
  周りの道路を覆うような高い樹木は見られなくなる。左右が明るい。
   
  ここまで来ると家路をたどっている心持ちになる。
  森の出口へは約30分。


  道路の勾配が急になる。山の麓に向かって下りが続く。



大国林道を縦断する




大国林道を縦断する

  遠く右手の山に2基の風力発電が見える。石山展望台もあの辺り。
  大保ダムももう近い。視界のひらけた道がつづく。



大国林道を縦断する

  美しいリュウキュウマツのトンネルが現れる。
 


大国林道を縦断する

  リュウキュウマツのトンネルを抜けると、そこは長い森の林道からの
  出口。時刻は午後5時18分。


  正直ほっとする。長いながい林道だった。  

  

  なお、この出口が自由に開閉できることを知らないと、遠くからこの
  鉄の扉が見えると、頭の中が真っ白になるほどびっくりする。引返
  す距離が一瞬脳裏をよぎるからだ。
  



大国林道を縦断する

  扉を出ると前は十字路。
  大国林道の終点(国道331号線)へは標識の大保ダムへの矢印の方向
  にまっすぐ進む。


  右折は大保ダム内を通り石山展望台の方から大宜味村の大兼久
  または塩屋方面へ出る。
  
  大保ダムの周回道路でもある。ダムに架かる橋を渡り、途中で左折し
  進むと管理棟のある入口前に出る。 

 
  左折は東村のツツジ公園、福地ダム方面へ至る道である。
  ツツジ公園の方は左折して、直進したあと2番目の舗装道路を右折する。


   


大国林道を縦断する


  大国林道の森からの出口の扉を出て右折、大保ダムを迂回して
  登っていくと、風力発電設備が見える。石山展望台のある丘である。
  風力発電設備のある場所と石山展望台は近い。


  石山展望台は太平洋や東シナ海が見渡せる。眺めが素晴らしい




大国林道を縦断する
 
  石山展望台から奥間ビーチ方面を望む。 





  今回は展望台へは行かず、そのまま出口へ向かう。


  大国林道の森を抜け出て直進する。大保ダム入口前に到着。
 


大国林道を縦断する

  大保ダム前の十字路。ここを左折する。100mほどで終点。



  始点を午前11過ぎに出発してから約6時間
  1日がかりの旅。辺りは黄昏に映える光景になる。

  車から降りずに、単にドライブで通り抜けるだけなら
  約2~3時間ではないだろうか。



大国林道を縦断する

  国道331号線。大国林道35km終点。

  大宜味村の塩屋湾方面へは右折。
  東村平良(村役場のある集落)へは左折する。

  南下してきたので家路へそのまま。気が楽だ。


  南から北に大国林道を縦断すると、県道2号線まで行って、
  帰ってくるのは、道のりを考えると大変だ。
  
 

                              


大国林道を縦断する

  新川ダム方面から遠望する 与那覇岳(503m)、伊湯岳(446m)、
  赤又山(267m)、玉辻山(289m)の山脈。  
  
        
   


大国林道を縦断する

  大保ダム管理棟。



大国林道を縦断する

  大保ダム 右上の白い建物が管理棟。



大国林道を縦断する
 
 マングースの剥製。大保ダム管理棟内にあるぶながや舘にて。


               
            

 (追加) 羽地ダムの湧水(水汲場)

 ヤンバルの森の湧水は美味しい。
 
 しかし、大国林道は行きたいが、あまりに遠いと感じる
 人には羽地ダムの方の水汲場がある。



大国林道を縦断する

 集水パイプは2本。土手に打ち込まれている。

 水を汲んでいる家族がいた。美味しいという。
 大国林道の水汲場のことも知っていた。行ったことはある
 が「遠い」という。

 飲んでみた。大国林道の湧水と同じように冷たく美味しかった。
 ペットボトル一本に汲ませてもらった。
 


大国林道を縦断する

 西海岸から来た場合、左手に水汲場がある。

 湧水を汲み終えた家族の一人が、立ち去るときに
 「流れる水を見つめ、「もったいないねぇ」とぽつりと言った。
 
 
 水汲み場への行き方。
 西海岸からは 羽地大川沿いに羽地ダムに向けて進む。
 ダムに架かる橋「またきな橋」(また、来なの意味か?」を
 超えた1.5~2km先にある。
 
 

大国林道を縦断する


 東海岸方面からは、  
 大浦湾のマングローブ林のある大浦集落から
 県道18号線を川沿いに山に向け走る。
 トンネルを抜けてすぐ右手に羽地ダムへの道路がある。
 右折して進む。ダムの眺めがいい「うじゅる橋」を超えて
 200mほど先。


           


  万が一、ハブに咬まれたら・・
  ●命にかかわります。数分で腫れてきて非常に傷みます。 
   血清が必要になるので、車で一刻も早く病院へ。
  ●傷口から血と一緒に毒を吸い出します(専用の吸引器が
   ない場合は、口で)。
   毒は飲み込んでも分解されるので害はありません。

  
  急な病気やケガをした時・・・
  119番へ!救急病院は名護市にあります。
  ●県立北部病院(名護市大中) 
    電話:0980-52-2719 
  ●北部地区医師会病院(名護市宇茂佐)
    電話:0980-54-1111


  ケガをしたり、死んでいるヤンバルクイナ
  を見かけたら・・・

  ●環境省やんばる野生生物保護センター
    電話:0980-50-1025
    業務用携帯:090-6862-9170
  ●NPO法人どうぶつたちの病院沖縄
    クイナダイヤル:090-6857-89177

  2012年3月現在のもの。


   以上は、  
   『やんばる自然のあしび手帳』
  (
環境省やんばる野生生物保護センター発行)より。               
   この小冊子は、大保ダム管理棟内の ぶながや舘で販売していた。
   200円。安い。一冊持っていたい。
   
 

                
  次は沖縄県(県衛生環境研究所)のパンプレットより

 
  山歩きやキャンプの注意
   
   山奥でかまれると、治療まで時間がかかりますので、とくに注意しましょう。
 日中の山歩き中でも、日陰ではハブを見かけることがありますので、気をつけ
 ます。草むらを歩いたり、木の洞などの穴に手を入れるのは危険です。 

  長靴、ブーツ、防具などを着用します。万一に備え、応急処理法ならびに血清
 のある診療所などの場所と電話番号を確認しておきます。
  夜間は懐中電灯を持って行動し、テントのファスナーを閉めます。テントの周り
 にイオウをまいても、ヘビを遠ざける効果はありません。


  ハブについての誤解を解く

 ○琉球列島ではハブは冬眠しません。冬でもハブは出没します
 ○アカマタがいるところにも、ハブはいます。
 ○ハブは、生まれた時にすでに毒を持っています。
 ○ハブはジャンプできません。ハブから1.5m以上離れていれば、攻撃範囲
  外です。
 ○ハブは、近づいても逃げない場合がありますが、人を追いかけません。
 ○噛まれた傷口から口で毒を吸うとき、虫歯があっても、毒を飲み込んでも
  大丈夫です。
 ○咬まれてから数時間たっても血清注射の効果があります。なお、素人が
  注射をですることはできません。
 ○近くに草むらや林がある地域では、たとえ見たことがなくても、ハブがいる
  可能性が高いです。


  もし咬まれたら

 ①まず、あわてずに、ハブかどうかを確かめます。
  ハブなら牙のあとが普通2カ所(1カ所あるいは3、4カ所の時も)あり、
  5分もしないうちに腫れてきてすごく痛みます。

   ○ハブは口を開き、頭を打ち付けるようにして咬みます。
    2本の牙は、生え替わり時には4本あるため、咬まれた牙の痕は
    1~4カ所になります。
     
    咬まれても毒が入らないこともありますが、
    毒腺に溜めた毒は1度に一度しか使われないため、続けて咬まれ
    ると毒量が増えます。

    体内に広がる前に、口などで吸い出して毒量を減らすと病状が
    軽くなります。 

 ②ハブだとわかったら、大声で助けをよび、病院へ連れて行ってもらいます。
  走ると毒の回りが早くなるので、車で病院に運んでもらうか、ゆっくり歩いて
  行くようにしましょう。

 ③病院まで時間がかかる場合は、指が一本通る程度にゆるく縛ります。 
  包帯やネクタイなど帯状の幅の広い布で、咬まれた部位よりも心臓に近
  い部分を、血の流れを減らす程度にゆるく縛ります。

  15分に1回はゆるめましょう。決して細いヒモなどで強く縛ってはいけませ
  ん。恐怖心から強く縛ると血流が止まり逆効果になることもあります。

 ●山間地など医療機関から遠い場所での作業は。可能な限り複数人で行い
  ましょう。万が一に備え、携帯電話の通信電波が届く確認しておきましょう。
 ●痛みや気分を紛らわすために、鎮痛剤やお酒を飲んではいけません。


  
  本島北部のハブ抗毒素常備医療機関

  国頭村立診療所  国頭村辺土名 電話:0980-41-5380
  東部へき地診療所  国頭村安田  電話:0980-41-7511
    県立北部病院         名護市大中 電話:0980-52-2719
  
  他に、国立療養所沖縄愛楽園、北部地区医師会病院など


    
       

  森の中を縦貫する大国林道。
  堪能するにはドライブだけでなく、一日旅でやはり歩きたい。
  大国林道全長35.5Kmを歩いて踏破する。1回あたり10~15km
  (往復20~30km)、区間を決めて何回かに分けて歩くといい。

  季節の草花や樹木の花を撮り、蝶やトンボを追い、野鳥の声、谷川の
  せせらぎを聴く。緑のトンネルを抜け、吹き渡る風を感じ・・・歩く。  
  湧き水で喉を潤す。樹木の間を漏れくる陽光に輝く葉、道路に写る草
  の葉の影絵に眼を転じながら・・・歩く。


  開けた山間の空を流れる白雲。深い谷の方から滝で遊ぶ子らの声が
  聞こえてくるときもある。黄昏れていく空を横切るカラス・・・。
  歩いてこそ分かるやんばるの森がある。
  
           




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Posted by 流れる雲 at 16:00│Comments(0)風景
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