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2016年12月19日

奥~辺土海岸線

奥~辺土海岸線
    
  
  奥~辺土間の海岸線のシンボル的な天然岩のアーチである。地元では「トゥールカ」と呼ぶ。
  アーチの奥に見えるのは辺土岬。辺土集落のウザハマ(宇座浜)から約1キロ余の距離に
  ある。やんばる3村の観光案内所にこの岩が朝陽に紅く映えている写真が貼ってある。



   奥集落の奥港側から辺土岬の宇座浜に至る海岸線は、
 
  海岸のトレッキングを楽しむ沖縄本島内での最も良い場所と思う。おおよそ3.5キロ~4キロ
  で片道2時間半から3時間で歩ける。
   
  海岸の崖沿いの岩場には旧県道の形跡がある。大きな岩石が崩れ落ちている場所も多いが、
  イノーに降りなくても岩場と砂浜づたいに踏破できる。しかし満潮の時だと通りにくい岩場も
  あるので干潮の時間帯がよい。
    
   
  この海岸線を歩くときは車の駐車場所や海岸の岩場の上り下りの容易さなどから、奥集落
  から辺土に向かう西へと進むルートをとった方がよい。
  駐車場は奥交流館の駐車場を利用。安心して車を長時間置ける。また奥の共同店も通り道
  沿いにあるので便利だ。


  中部の自宅を出てから奥まで約3時間ほど。10時あるいは11時頃到着とした場合、12時~
  14時頃に干潮のピークがあればいいと思う。それだと、トゥールカで一休みして景観を楽
  しみながら潮風に涼み昼食をすることができる。
   
 

奥~辺土海岸線

  (写真1)

  海岸線に入るには奥小学校の横の道路を奥港に向けて進み、奥港で写真の左側
  の坂の道路を上がる。




奥~辺土海岸線

  (写真2)

  坂の途中から奥港を望む。「漁港」かと思ったが漁港ではない。地図上の名称は
  「奥港」。奥集落が陸の孤島と言われた頃の歴史と関連しているようだ。




奥~辺土海岸線


  (写真3)

  道路の上から見える最初の浜(フーバマ)。小さな浜で長さは50メートルほどか。
  珊瑚礁のリーフに白波が立っている。このリーフは辺土岬まで続き長いイノーをつくっ
  ている。
  



奥~辺土海岸線

  (写真4)

  フーバマの次に道路上から見える海岸。写真5のフパダチバマの東の端である。
  
        


奥~辺土海岸線
  
  (写真5)

  フパダチバマ(単にフッパバマと呼ぶ人もいた)。
  奥~辺土海岸線の最初の長い砂浜で全長約500メートル。
  右手の岩の名はフパダチヌタター(立岩)。




奥~辺土海岸線

  (写真6)

  フパダチヌタターの周りを打ち寄せる白波が絵になって美しい。別の日に行き
  構図を変えて数枚撮ったのがこの写真。風が強く波が荒々しい日に再度撮り
  たい景観だ。
  
  (写真6,7,9,10、49,52,53は他の写真とは異なる日に撮ったものである)




奥~辺土海岸線 
  
  (写真7)

  フパダチバマ。道路上の別の位置から撮ったもの。
  手前に見える水路のあるところの後方に駐車場(写真9)がある。



奥~辺土海岸線
  
  (写真8)

   フパダチバマを右手に望み坂を下り、曲がるとすぐ手前にフパダチハマの駐車場
  がある。道路はまっすぐ400メートルほど進むと、次の砂浜、ユッピバマに着く。 
         
  

       
奥~辺土海岸線

  (写真9)

  駐車場の右手奥にフパダチバマに下りる細い通路がある。
  サーフィンを楽しむために来た人たちの車。          




奥~辺土海岸線

  (写真10)

  駐車場からフパダチバマに下りて撮った。浜の人影はサーファーたち。     
  

        

奥~辺土海岸線
 

  (写真11)

  ユッピバマ(世皮浜)。全長約250メートル前後。
  舗装道路はここで終わり。先は行き止まりとなっている。山手の側に小さな渓流が
  あることからだろうかキャンプしている人を見かける。渓流の水は「飲めません」と
  記されてある。




奥~辺土海岸線

  (写真12)

  ユッピバマの右端にある褶曲した立岩(ユッピヌタター)。高さは4メートルほど。
  干潮だとこの立岩の方からフパダチバマ(写真4)に砂浜を歩いていける。



奥~辺土海岸線
  
  (写真13)

  ユッピヌタター(立岩)の方からフパダチバマを見る。前方の山に港から続く道路
  が白く見える。




奥~辺土海岸線

  (写真14)

  ユッピバマを浜の東端(写真12)の岩場から見る。




奥~辺土海岸線

  (写真15)

  ユッピバマの砂浜を西に進んでいくと、山側に旧県道の崩れた護岸跡がある。     




奥~辺土海岸線

  (写真16)

  ユッピバマの西側の端。これから辺土まで渡っていこうとする岬の岩場。
  奥~辺土の海岸線の岩は、残波岬や万座毛の岩場と違いゴツゴツと鋭くとがって
  はいないので大きな岩から岩へと飛びながら歩くことも比較的容易である。
      


 
奥~辺土海岸線
  
  (写真17)

  ユッピバマからしばらく大きな岩石がごろごろ転がっている岩場がつづく。
  

         

奥~辺土海岸線


  (写真18)

  岩場はつづく。荒れてはいるがこのようにある程度平坦な面になった箇所が現
  れてくる。旧県道の形跡だと教えられると納得できる。 




奥~辺土海岸線

  (写真19)
 
  岬の先端に近い場所。周りより高くなった岩に上り振り返って遠くに
  フパダチバマとユッピバマを望む。広がる景観が素晴らしい。

  かなり遠くまで来ている。ユッピの浜からは400メートルほどの距離。




奥~辺土海岸線

  (写真20)

  左から突き出た岩山はユッピ岬(世皮岬)。この岬が奥と辺土の中間当たり。
  遠く海上に辺土岬が横たわっているのが見える。辺土岬を見ると嬉しくなり、
  「さあ、歩くぞ」と元気が出る。
     

               

奥~辺土海岸線

  (写真21)

  上の写真20の山側にある旧県道跡。岩場はかなり歩きやすくなっている。

  ユッピ岬を曲がってなお岩場が数百メートル続く(写真22~26)。




奥~辺土海岸線

  (写真22)

  旧県道の側壁跡。海から3メートルほど高さの岩場に旧県道の形跡がある。




奥~辺土海岸線

  (写真23)

  手前に旧県道の電柱杭跡。このような杭跡はいくつか残っている。




奥~辺土海岸線

  (写真24)

  イノーの彼方は宇座岬(高い方の山)と辺土岬。




奥~辺土海岸線

  (写真25)

  上の写真24の場所から振り返って撮った写真。岩を穿いて平坦にした
  旧県道の形跡がわかる。




奥~辺土海岸線

  (写真26)

  前方に長い砂浜が見えてくる。ユッパバマ(吉波浜)だ。だんだんと辺土岬
  が近くなってきた。岩場も低くなっている。
           



  「小学4年生の遠足は辺土岬であった。学校から西に歩き出しフパダチ、
  ユッピと戦前の県道跡の道は農道として残っていた。・・・途中に護岸や側溝、
  電信柱跡が残っていることから、確かに道があったと思いつつ西へ西へと歩
  むのであった。

  難儀しながらも途中の景色に感動したものである。特にユッピ岬を曲がり、
  西側の展望が開け、眼中に辺土岬を見たときの感動は今でも脳裏に焼き付
  いている。」(在那覇奥郷友会宮城邦昌氏の『消えた県道(宇座ー奥線)』より)
  


          

奥~辺土海岸線
  
  (写真27)

  ユッパバマ(吉波浜)。ここからは辺土側になるようだ。


  砂浜の全長は500メートルほど。幅は最も広いところでは約50~60メートル。
  これほどの大きな砂浜があったとは驚きだ。




奥~辺土海岸線

  (写真28)
  
  ユッパバマに入ったところ。浜の西側に崖のくぼみを利用して作られた廃
  小屋がある。高床式で小さなガラス窓もある。小屋は平面1.5×3.5メート
  ルほどの大きさ。かなり朽ちている。

  
  「20年ほど前まで男性が住んでいた。文学書を読んでいた。小さなボートを
  一隻持っていた」と当時を知る方が話していた。小屋の後ろに回ってみたが
  ボートはなかった。色あせたオールが一つ草むらにあった。


  以前この小屋を見たときは、釣り人たちの夜の仮小屋だと思っていた。実際
  生活していた男性が居たと聞いて興味がわいた。小屋の中から海を眺めて
  みたかったが、いろいろな物で物置きのように埋まっていて難しい。
       
 
  小屋の前の岩から眼前の海と辺土岬を眺めるだけにした。世捨て人のような
  暮らしだったのだろうか。何を愛読していたのだろう。老子・荘子?良寛それと
  も山頭火の句集?

   
    
  良寛が詠んだ歌がある。


    いにしえに変わらぬものは荒磯と向かひに見る佐渡の島  
 

  「佐渡の島」を「辺土の岬」(字余り)に置き換えて口ずさんでみる。


    いにしえに変わらぬものは荒磯と向かひに見る辺土岬  
 



  「身を捨てて世を救ふ人あるものを草のいほりに閑(ひま)求むとは」・・・
  こういった心境の時もあっただろうか。    
          
  たかが岩場の朽ちたあばら屋だけど、そこへ佇み海をみているといろ
  いろと思いが浮んでくる。

  
         


奥~辺土海岸線

  (写真29) 旧県道の暗渠。

  ここは先ほどの小屋に近く、20メートルほどの場所にある。細い渓流が
  あるので小屋の住人は生活の水には困らなかっただろう。


  ・・・・小屋の住人に関わっては前に進めなくなる。先はまだ遠い。




奥~辺土海岸線
  
  (写真29-2) ユッパバマ。

  400メートルトラックの陸上競技場が作れるほどの広い砂浜だ。
  ひょっとすると沖縄一幅広い砂浜ではないだろうか。 




奥~辺土海岸線

  (写真30) ユッパバマ。

  風や波で打ち上げられた砂が1.5~2メートルほどの高さの砂の丘
  を作っている。         
  

       

奥~辺土海岸線

  (写真30-2) ユッパバマ。



  「ユッパバマは、見慣れたフパダチバマやユッピバマと違い、砂浜の広
  さと勾配のある砂場があるのに感動した。辺土岬までの路程の中間点
  にあることから、この砂場でしばらく休むことにしたが、みんなで傾斜面
  を滑り降りたり転がったりして遊んでいた。

  その時腰に巻き付ていた風呂敷包みがほぐれて弁当箱が砂に落ちた
  のである。すぐに拾い上げたが残念ながら蓋が開いて弁当のメー(ご飯)
  とアンダミス(油味噌を油で炒めたもの)の表面が砂でまぶされたのであ
  る。

  それでも蓋をしめて辺土岬に辿りついたが、弁当は砂が付きすぎて食べ
  る事ができずひもじい思いをした。帰りは山越の県道を経て帰宅したが、
  今でも栗飯のような砂をまぶした弁当が脳裏から離れない。」
  (宮城邦昌氏、上記に同じ)



     

奥~辺土海岸線
  
  (写真31) ユッパバマの西(辺土)側。

  前方中央に見える岩はトゥールカ。




奥~辺土海岸線

  (写真32) 西側から見たユッパバマ。

  砂浜にせり出した岩は上の(写真31)の手前の岩である。
  
  グンバイヒルガオが海の方に伸びて広がっていた。




奥~辺土海岸線

  (写真33)ユッパバマの西側端。

  手前の砂浜に立てられた赤い印のついた石とその右側の、白い札のつい
  た棒はウミガメの調査の目印。




奥~辺土海岸線
  
  (写真33-2) ユッパバマ。

  西側にあるトゥールカ前の岩場から撮った。




奥~辺土海岸線
  
  (写真34)  

  自然が作った岩の三角状のアーチ(トゥールカ)。
  写真では大きさがわかりにくいが、下の写真35~37に見るように
  かなり大きな岩のアーチである。トンネルの高さは10メートル前後。
  底の幅は3メートルほど。




奥~辺土海岸線
  
 (写真35)
 



奥~辺土海岸線

  (写真36)

  トゥールカを辺土側から見た景観。アーチの下は旧県道跡。   
  
  北部3村の観光案内所に掲示された、すばらしい朝陽に映える
  トールカの写真とほぼ同じ構図。
  
         



奥~辺土海岸線
 
  (写真37)
 
  トゥールカの西側にある崖を掘削して作られた旧県道から撮る。
  次の写真38は同じ崖のさらに上に登りレンズを広角にして撮影。
  

         

奥~辺土海岸線

  (写真38)

  
   
  「ユッパでの畑仕事の楽しみは、干潮時に干上がったリーフ(裾礁)
  に下り、クサビ(ベラ)を釣ったり、イヌジ(イイダコ)を捕まえることと、
  夏の暑い日の畑仕事の合間に景色が良く涼しい岩陰、石の天然
  トンネルと呼ばれるトゥールカで涼むことが一番の楽しみであった。」
  (上原信夫氏談:宮城邦昌氏作成『消えた県道(宇座浜~奥線)』より)



  (追記1)
  
  戦後まで、奥の人たちは、辺土上原にある畑まで、干潮時のリーフ
  を奥から歩いて行き帰りしていた。(宮城邦昌氏)



  (追記2)


奥~辺土海岸線
  
  
  映っているのは宮城邦昌氏とその仲間の方々。二度目に海岸を歩い
  たときに出会った。
  国頭の旧海岸道路の調査をしていたようだった。昼近くだった。下の
  (写真39)の崖下で昔の小学生の頃の遠足の話を聞かせていただい
  た。おいしいおにぎりもいただいた。トゥールカの大きさがわかる。




奥~辺土海岸線

  (写真39)
  
  上の写真37のトゥールカのすぐ手前の場所。15メートルほどの高さの
  崖からちょろちょろ水が流れ落ちていた。大雨や梅雨時には白い滝の流
  れが見れるかも知れない。

  昔は遠足のときトゥールカやここの岩の上で休憩したり弁当を食べたという。




奥~辺土海岸線

  (写真40)

  岩のアーチを後に辺土に向かって進む。  




奥~辺土海岸線

  (写真41)

  ウジチバマ。全長350~400メートルほど。
  この砂浜の中央当たりの崖に細く水が落ちている高さ10メートル
  ほどの小さな滝の流れがある。(写真42,43)



            
奥~辺土海岸線

  (写真42)

  ウジチバマの中央当たりにある小さな細い滝。下は旧道の破損した
  暗渠。




奥~辺土海岸線

  (写真43)

  黒い岩肌を落ちる白い水の流れは浜風に吹き上げられていた。




奥~辺土海岸線

  (写真44)

  ウジチバマを去り西へ向かう。岩場が続く。




奥~辺土海岸線
  
  (写真45)

  左手の濃い灰色の岩の高さは3~4メートルでこの岩の上が旧県道。 




奥~辺土海岸線

  (写真46)

  岩場から通り過ぎてきたウジチバマを望む。かすかにユッパバマ
  が見える。
  
  「思えば遠くきたものだ」と感慨がわき起こるところ。




奥~辺土海岸線
 
  (写真47)

  前方の宇座岬の山沿いに旧道の護岸跡が見える。この岬の岩場を
  超えれば最終地の宇座のウザバマはもう目の前。




奥~辺土海岸線

  (写真48) 旧県道の護岸跡。





奥~辺土海岸線

  (写真49)




奥~辺土海岸線

  (写真50) 電柱の杭跡。




奥~辺土海岸線

  (写真51) 

  ウザバマ(宇座浜)。全長約450~500メートル。釣りやキャンプを
  している人たちをよく見かける。写真奥の辺土岬の付け根の方の
  景観も素晴らしい。


          
  このウザバマで奥~辺土間の海岸線約3.5~4キロは終了。

  ウザハマの後方には辺土岬側から下ってくる舗装道路(入り口に宇
  座浜遺跡の看板が設置されている)と駐車場がある。駐車場には
  辺土集落付近の史跡等案内板がある。            


      
  ウザバマを訪れた人が、右手の海岸沿いの岩場を伝って散策してい
  るのを見かけたり、あるいは散策した足跡を砂浜に見つけることがあ
  るが、だいたいウジチバマまで行って引き返すようだ。

  もう少し行けばあの天然の岩のアーチに出会えるのだが・・。
  岩場が多いのと行く先の状況が皆目見当つかないためではないだろ
  うか。満潮も気になる。
   
 
  最初にこの海岸を歩いた時、辺土のウザバマから歩いた。岩のアーチ
  を見たときは嬉しかった。 
  数年前、「道の駅ゆいゆい国頭」で、この岩のアーチの壁が朝陽に映え
  る大きな写真を見て、どこにあるのか場所を探したかったからだ。 

  アーチのある岩場を降りて、さらに先に進むかどうかやはり迷った。
  アーチ岩の方から前方(奥の方)を望むと遠く砂浜は見えるが、その先
  がどうなっているのかわからなかった。満潮になった場合に引き返すこ
  とが出来るのか。越えきれない崖がないかなどいろいろ考え引き返し、
  後日、奥の側から辺土に向かった。 




奥~辺土海岸線
  
  (写真52)

  宇座岬の方から辺戸岬を望む。 




奥~辺土海岸線

  (写真53)
  
  ウザハマの入り口方面から辺土岬を望む。別の日に撮影。            




奥~辺土海岸線

  (写真54) ウザバマ

  辺土岬からウザバマへ下る道路途中から撮る。
 
 


  辺土岬までは来るがこの美しい浜を訪れる観光客はごくごくわずか。
  辺土岬はウザバマに下りてくる道路の途中からや、ヤンバルクイナ
  展望台からの景観も美しい。



 
奥~辺土海岸線

  ウザバマへ下りる途中から辺土岬を望む。  




奥~辺土海岸線

  ウザバマの北側(辺土岬付け根)の岩場。




奥~辺土海岸線

  ヤンバルクイナ展望台からの眺め。 



  このように手づかずの美しい5つの砂浜を持つ海岸線であるが、この
  海岸線の全体を知る人は多くはないようだ。国頭村のかなり年配の方
  でもこの海岸に来たことがないという方もいた。
  
  この美しい海岸を多くの方に知って欲しい。しかし、ウミガメの寄る砂浜
  でもある。荒らされて欲しくない気持ちも強い。自然を破壊せずに楽しみ
  たいものだ。

  どの砂浜にもペットボトルが多い。年々増えている。ある方が国頭の海
  岸のペットボトルは中国などから流れてきたものだと話していた。拾って
  ラベルの文字を見ると中国語であった。



    
  奥~辺土海岸トレッキングの帰りはどうするか

  
  来た海岸を戻ることも考えられるが。この場合、潮の満ち引きの時間帯を
  十分頭にいれておく必要がある。

  しかし、同じ道は退屈だ。過ぎてきた長さを思うと気も進まないことが多い。
  海の次は山(陸)ということで、ウザハマから辺土集落に登り陸路を奥に戻
  りたい。

  ウザハマから辺土集落までは約200メートルほどの坂道。ヤンバルクイナ
  展望台への坂をずっと上っていく。

  疲れている場合は村営バスを利用することも選択の一つ。辺土の共同店
  入り口にバスの運行時間割表が貼ってある。時間帯がずれると長く待つこ
  とになるになる。

  バスを待っている時間に奥まで歩いていくことができるほどだ。奥までの陸
  路はおおよそ5キロ余。

  桜の咲く時期だと国道沿いの桜を楽しむことができる。サクランボの時期な
  らばサクランボを歩きながら次々と採って食べることができる。夕暮れ近くに
  なると、谷の斜面の木の葉やツタの葉が夕陽に美しく光るのを撮ることがで
  きる。ねぐら近くでカアカアと鳴くカラスの声に一句ひねるのも道中の脳の遊
  びになる。


       鴉啼いてわたしも一人 (山頭火)    
  



  どうしても疲れてバスを利用したい場合、バスを待つ時間が1時間余なら祭
  温松を見学するのを一考だ。ヤンバルクイナ展望台も辺土集落の近くだ。


  奥集落の奥交流館・奥宿泊施設を利用して一泊し、翌日は林道の散策など
  して帰宅するのもいいかなあとも思うが、まだやったことはない。
  一泊だと、朝陽に映えるトゥールカ(岩のアーチ)や辺土御嶽の写真が撮れる
  かも知れない


  なお、奥集落は「共同店」発祥の地だという。



  (追記3)
 
  海岸線を歩くことについて、年間を通して潮の干満に左右されない。ただし、
  冬場の季節風の吹き荒れる時期、夏場のかんかん照りの時(南風の場合は
  風がなく蒸し暑く熱中症用心のため)は不向きである、と宮城邦昌氏からアド
  バイスがあった。         
    



  

    奥~辺土の旧県道について
 
  以下の説明は、先に引用したのと同じく在那覇奥郷友会の宮城邦昌氏作成
  の『消えた県道(宇座浜~奥線)』(氏のご好意で提供していただいた)より引用。

  なお、砂浜の地名についても宮城氏の資料に負っている。
  同氏は「シシ垣ネットワーク」「奥の猪垣と地名研究会」の会員でもあられる。




  ー 「1930(昭和5)年、沖縄県復興15カ年計画案に辺土名と奥との間の県道
  工築が織り込まれまれもなく実施にかかった。・・・1937(昭和12)年、宜名真まで
  の県道が開通した。1935(昭和10)年は日華事変が起きた年で、・・・軍事予算
  は膨張の一途をたどっていたが、15カ年計画はなお実行され県道工事はすす
  められた。

  そして、1940(昭和15)年に至り、辺土宇座浜を経て海岸沿いに奥までの工事
  が完成した。当時沖縄は戦場とならなくとも太平洋戦争の作戦区域に含められる
  可能性があった。奥までの県道完成には軍事目的も秘められてのことであった。」
  (「国頭村史」514~515頁)
       
  村史には「奥までの工事が完成した」と記されているが、正確には「完成」とは言
  えない。たしかに1942(昭和17)年に行われた衆院議員選挙に立候補していた漢
  那憲和がその選挙運動のため、ユッピまで自動車で乗りつけて来た。しかし、部
  落まで車が通れる状態にはまだなっていなかったのである。

  戦雲いよいよ急を告げ、県道工事どころではなくなっていた。辺土~奥の間の県
  道の開通は、ついに全面開通にいたらず結局「まぼろしの県道」として戦禍の中
  でうやむやのうちに消滅してしまったのである。戦後もそれは利用されることなく
  放置されたまま荒波にさらわれ、今でもところどころにその形跡をとどめている。



  

  国頭に行って帰り道中の楽しみは夕陽を撮ること。
 

  いくつかの夕陽撮影のスポットがある。宜名真漁港もその場所の一つ。駐車で悩
  む心配がないのでゆっくり撮影できる。釣り人などの影も一緒に撮りたいと考えて
  いたが、防波堤に人影はなかった。
    


奥~辺土海岸線




奥~辺土海岸線





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