2016年11月08日
泡瀬海岸の朝日
泡瀬海岸の朝日の昇る位置は、秋になり与勝半島から南の海上に移動している。
海上から昇ると岩山や釣り人などをシルエットにした構図でいい絵が撮れる。
ここ数日は引き潮の時間帯に朝日が昇る。干潟に入れるので朝日を撮るにはいい条件
の日が続いている。また、秋冬は日が昇る時間が遅く、早く起きる必要がないのも良い。
朝日がまだ半分隠れているが、雲はいつ消えてしまうかわからない。潮に写った雲を
メインにして早めに撮っておく。このあと、上空の雲はすぐに消えた。
潮の中から突き出たものは海藻養殖の網を張る鉄骨。
干潟の遠くに男性の歩く姿が見えた。その姿が朝日の下に位置するように自分も男
性のペースに合わせ移動しながら撮る。タコ採りかと思ったがそうではなかった。
干潟を歩いていた男性が釣りをしている。後方を海鳥が飛んでいくのが見えたので、
レンズをさらに望遠側にして撮る。
望遠にするとカメラがぶれて遠くの人物はピントが合わしにくい。手間取っている間に
海鳥は飛んでいく。なんとか間に合った。
下の写真は、2日前と1月に撮ったもの。
岩のシルエットの横に朝日を配置した構図で撮るには、干潟の潮に写る雲が撮れる位置
から移動しなければならない。わずか十メートルほどの距離でも、朝日はどんどん昇り明
るくなる。雲は消え潮が満ちてくる。どちらかを犠牲にしなければならない。
11月6日撮影。
11月2日撮影。沖の2人の黒い影はタコをとる漁師。
1月2日撮影。
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朝日を撮った後は、ウォーキングを兼ねて海岸線を歩く。
以前は貝殻を拾っていたが、何年も続いたのでさすがに飽きてしまった。
しかし、やはり貝殻には心を引かれる。
貝殻を撮っていたら、ふと「私の耳は貝の殻」という詩のフレーズが思い浮かんできた。
わたしの耳は貝の殻
海の響きを懐かしむ
学生時代に読んだ堀口大學の訳詩で覚えている。
フランスの詩人ジャン・コクトー(1889~1963)の『カンヌ』という6編詩の第5番目の
短い詩。他の方の全訳では「海の響きを懐かしむ」は「海のざわめきが好きだ」と訳さ
れている。これが原詩に近いという。
その意味するところが原詩とは別のものになろうと堀口大學の訳詞が好きだ。
『カンヌ』 の詩全体としてはそう面白くない。
コクトーの念頭にはどのような貝のイメージがあったのだろうか気になった。
二枚貝だと形は耳に似ているが、海のざわめきや響きが聞こえてくるというイメージは
少し弱くなる気がする。巻き貝だと、耳に当てるとそのらせん状の殻の中から、海の響
きや砂浜のざわめきが遠くかすかに聞こえて来そうな気がする。風にも鳴りはしないか。
貝の耳のとりとめないことを考えながら形や色の良い貝はないか、下を見て歩いている
とヤドカリのおんぶを発見。
人の気配に気づきびっくり。上のヤドカリが下のヤドカリより早めに身を引っ込めたため
ひっくりかえった。
しばらく貝殻の中に身を潜めてそのままにしていたが、口笛を吹き続けていると
下のヤドカリは身を乗り出して体勢を立て直そうとしている。
ヤドカリは掴まえると身を隠し大きな鋏で蓋を閉じる。そのときに口笛を吹くと出て
くることは、幼い頃から砂浜を遊び場に育った離島の子どもたちは知っている。
上のヤドカリはまだしがみつきおんぶされている。恋をしているのか、下のヤドカリの
家が欲しいのか。よっぽどこの背中が気に入っているのか。ぐうたら者か。
下のヤドカリは体勢立て直しに必死。上のヤドカリが重いのだろう。
体勢を確保した下のヤドカリは方向転換し逃げようとする。
急な方向転換で上のヤドカリは振り落とされそうになるが、それでもしがみついている。
教訓、他人の背に乗っているものは、他人の意思や境遇に振り回される。
このあと、反対側にまわって撮るつもりで場所を移動したら、保護色のような周囲の砂
礫の中に見失ってしまった。なんとか探し当てたがじっと身を潜めていたため、これ以
上撮るのはあきらめた。
ヤドカリ劇場から立ち上がると、ビニール袋を手に貝殻を拾っている女性に出会った。
「小さいとき夏休みの宿題でよく作ったじゃないですか。あれの延長。好きだから」
「『家庭円満』の貝殻文字を作る」と話してくれた。
腰をかがめて小石をかき分けかき分けし小さな貝を集めていたのはそのためだ。
最近は貝殻が少なくなったと嘆く。あちらこちらの海岸で貝殻を拾っているようだ。
きれいなビーチであっても、砂を運んできて入れているビーチに貝殻はない。
1週間ほど前に辺野古で新潟から来た親子連れの観光客にあった。
沖縄で貝殻を拾いたい、子どもたち(幼稚園くらいの女の子)二人はそれを楽しみに
していると語っていた。
貝殻を拾いカニを見つけるのも沖縄観光の目的の一つとしている観光客もいる。
貝殻の拾える砂浜が観光情報としてあればいいだろうなあと思った。
大人の求めるものと子どもの求めるもの・見る目は違う。子ども目線での観光情報
も欲しい。
そして、自然な海岸線を守ることが観光にも大事なことが分かる。
※ ※ ※ ※ ※
今日の雲
波状雲
層状になった高積雲が波状に並んでいる。県総合運動公園で撮影。
※ ※ ※ ※ ※
「さくらねこ」だからかわいそうだと、この猫を抱き上げベンチに座らせ背中をなで
ていた方は言った。「不妊手術をしているので、この猫は一代で終わりじゃないですか」
とつなぐ。
「さくらねこ」という言葉は初めて聞いた。
「さくらねこ」とは不妊手術をした野良猫のことで、不妊手術済みの証明として耳先が桜
の花びらの形(V字)にカットされていると言う。
その切り口を見たかったが出来なかった。離れて座り込んだところを撮ったが、写真でも
確認は出来ない。
インターネットで調べたら、「どうぶつ基金」のHPに詳しい情報が載っていた。
さくらねこはTNRと称され、意味は下記のとおり。
T= Trap(トラップ) 捕獲すること
N= Neuter(ニユーター) 不妊手術のこと
R= Return(リターン) 猫を元の場所に戻すこと
「さくらねこを見たら優しく接してください」というメッセージが記されたブログもあった。
公園の他の場所で頭の後方に赤く血がつき怪我をしている小柄の痩せ猫を見た。
単独行動をしていて写真に撮ろうとしたが、警戒心が強くすぐ雑木の下に逃げた。
さくらねこの話をしてくれた方は、この猫のことを知っていた。
怪我は頭ではなく首の後ろの方で、猫どおしの喧嘩でやられたのではないかと
と話し、なつかないですぐ逃げると言う。気になっているのだろう。心の優しい方だ。
Posted by 流れる雲 at 14:55│Comments(0)
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