2019年02月02日
轟の滝
待ちわびた桜がすこし咲いている
ちらほろと桜が咲いて滝の音
名護市数久田の轟の滝。
数か月待ちわびていた桜の花が、高い枝の方にすこ
しばかり咲いていた。
昨年の秋、ここを訪れたとき滝の見える場所に桜の木
があることを初めて知った。春には滝と桜の花を撮り
たいと思っていた。
いい絵が作れそうだと、昨年見たときから思っていた
のが橋の入口右手の桜。幹はほとんど見えないが、
高い枝が横にせり出している。
花は2~3分咲きくらいだろうか。まだまだ少ないが、
来たついでに撮り試しをしていい構図を見つけておこ
うと思った。
手前には他の樹木が茂っている。悩む。手前の茂み
の綠の葉を組み込んだのがいいのかどうか。それか
ら横か縦かも。
背景の巨大な一枚岩の岩肌の色が赤みを帯びすぎ。
桜の花が目立たない。
滝の水の流れも気になる。昨年見たときより水量が少
なく勢いがないように感じた。
なお、上の写真の画面の下端に写っている葉の大き
な木が生えている岩場にリュウキュウイチゴの白い花
が咲いていた。残念ながら写真には撮っていない。
轟の滝の見物の一つは県内最大級と言われる一枚岩。
だが、背景が一枚岩だと桜の花はやはり目立たない。
雄大な一枚岩は魅力的な被写体だが、これを活かした
絵はづくりは、今の場合は難しい。
背後の岩壁を外す。遠くの樹木の暗い陰に被せ浮き
立たせる。手前にすこしばかりの綠。
シャッター速度を1/125秒にし、滝の水の流れの描
写を変えて見た。
滝の流れが止まって写るが、落ちる水量が少ないの
で見映えがしない。逆効果のようだ。
縦。シャッタースピードはそのまま1/125秒。滝に焦
点を合わしたら桜がぼけた。
画面の上の方に桜の花の面積を多くし、滝の水の流れ
は下の方に配置した。一枚岩の岩肌がどうしても入る。
花が多くなれば、岩肌は花で隠せるかも知れないとも
思う。
シャッタースピードは1/13秒に戻した。手持ちなので
あまり遅くはできない。ブレてしまう。
滝を前にした桜の木は二本ある。
画面では分かりづらいが、画面右端の桜と左端の桜。
右端の桜はこれまでの写真で見てきた橋の入口の桜。
左端の桜は東屋の前にあり、花はほとんど咲いていな
い。
それにしても大きな一枚岩だ。県内最大級だという。
東屋前の桜。東屋の中から撮る。木の全体像を撮るこ
とは正面からは難しい。
東屋がもっと後方にあればよかったのにと思う・・・。
同じ桜の木。左側はやや花が多い。枝の間から滝の
水の流れを撮る。
もう少し咲いていたらいい感じの絵になるとも思うが
満開では花に滝が隠れてしまうかも知れない
桜の木の根元の方には滝に向かって拝所がある。
根神(ニガミ)を出す門中(島袋姓)がウマチー行事
に滝を拝むという。これは「数久田への稲作伝来に
関係する」という。
かっては拝所の前にニガミダー(根神田)があった
ようだ(『名護市史 本編・9 民俗Ⅳ』)。
滝の周りの桜はもう一本ある。滝の側にある。
写真の奥、手前の桜の枝に重なるように、滝の水の
流れの横に見える花。もっとも花が咲いていた。
正面から。枝振りはあまり大きくないように見える。
花の色は周囲の枯れ木に紛れて分かりにくい。
橋の入口の方からだと、正面からのように周りの
枯れ木と重ならないので桜の花は分かりやすい。
もっとも滝に近い東屋を手前に組み入れた。目立ちす
ぎる。屋根だけをすこしにすべきだろうか。この東屋の
方からは第三の桜は、枯れ木でほとんど分からない。
去年の台風24号の影響はここにもある。
滝の前には東屋が二つある。
そのどれも写真撮るには邪魔だなあと思っていたが、
本土から来た夫婦の観光客の夫が、「沖縄らしいあ
の東屋もいれて撮るといいよ」と妻に呼びかけていた。
これを聞いて何か目からうろこがとれる思いがした。
県外からの観光客は別の目で見ているのだ。
八重岳で外国から来た観光客が、桜と一緒にヘゴの
木のある背景を好んで選んで記念写真を撮っていた
ことを思い出す。
見学路から滝の方へ下りて撮った。
大きな岩が重なり転がって足場が悪い。
カメラを手に片手で身を支えながら岩場を渡るのは
カメラを破損する可能性が高い。要注意。
滝の水量が多く流れが激しいときは、水しぶきが遠
くまで飛び、広い範囲の岩場が濡れているのでさら
に滑りやすい。
滝の下から先ほどの桜の花を組み入れて撮る。
桜の花がより明るく見える。
滝の流れの上部分を切り取り、ややアップにして撮った。
滝壺へ落ちる流れを(下側の小さな落水)下の方に組
み入れた。写真でよく見るこの構図は見学路の上から
は撮りにくい。
撮ってはみたがあまり面白くない絵。
小さな落水がある。これを組み入れたらどうだろう
かと思いつきで撮ってみたのだが・・・。
でも、撮るからにはいい絵にしたくなる。
やや左側に寄り、下の落水を強調するとともに、さらに
滝の上の方を一部を切り取ってみた。
絵としては、むしろ下の落水だけを切り取って撮った
ほうが面白い。
以前にも、この落水を横構図で撮ったことがあるのを
思い出した。無意識にカメラを向けてしまう。
小さな世界に大きな風景を思い浮べる。一種の心の
遊び。それが好きなのだろう。
小さな島国の風景の前では、そう思い描き撮らざるを
得ない面もある。
水量が少ない。あまりいい絵にはならなかった。
轟の滝は轟の滝公園内にある。公園への入場料は
200円(一般一人)。
以下は昨年撮ったもの。
久しく轟の滝を訪れたことはなかった。
昨年、ふと思い出して秋と冬の初め頃に来てみた。
見学客はまばらで少なかった。
ふとおもいでの水音ばかり
(山頭火)
落ちる水音を聞いていると、修学旅行だったか、ある
いは友人とだったかはもう忘れたが、初めてこの滝を
見た遠い日のことをおぼろに思い出し懐かしくなった。
中学生のときの修学旅行は、七曲がりをバスに揺ら
れての名護だった。
昨年は雨の後に来たので水量は多かった。
シャッタースピードは1/30秒で流れを出した。
周辺は整備され見学路や東屋ができていた。
2017年度に行われたという。滝に近い東屋の外側
に夜間ライトアップ様の照明が設置されていた。
滝の上。3つの小さな落水が見えた。
滝の落水に樹木の枝が重なる構図をつくる。
東屋の中では身体を動かせる範囲が限られてしまう
ので、この構図は意外と苦労した。
木の葉の緑色が出ていない。色あせた灰色っぽい
葉の色になって写った。注意深く確認して撮り直し
ておけばよかった。
滝の高さは、約28メートルとか約30メートルとか
ちがう高さが言われている。
見た目にはそんなに高いようには思えない。
ちなみに、『沖縄県広域道路地図』(福岡人文社、
2013年)には約15メートルと記されている。
(追記)
沖縄県教育庁文化課によると、轟の滝が沖縄県
の名勝に指定された時の資料では約25メートル
であるという。
名勝指定は1956年(昭31)2月22日。
それまでの資料では高さは50尺となっていた。
沖縄県と名護町(当時)の役場が一緒に計測した
ところ95尺あった。これをメートルに換算すると
約28メートルになるという。
高さ計測の基底と頂上をどことしたかを知りたい
ところだが、公的には約28メートルが正しいようだ。
轟の滝は、轟川の流れが数久田集落のある平地に
落ちる場所にある。滝を落ちた水は集落内を流れ東
シナ海に出る。