2018年04月29日
デイゴ(大宜味村宮城)
大宜味村塩屋宮城島のデイゴ。真っ赤な花が咲き誇っている。
宮城橋を渡ると見えてくる。国道58号線沿いにありひときわ目を引く。
場所は大宜味村営宮城住宅の入口にある。バス停の隣。
4月上旬から咲き始め中旬に一日中降った雨後から下旬にかけて咲き満開になった。
昨年は撮ることが出来なかったので咲き始めの頃から気にかかっていたが、車の往
来が多い国道沿いなのでつい通り過ぎてしまっていた。
樹高は約5~6メートルでそう大きくはないが咲きっぷりが見事だ。
7年前の昭和23年に「沖縄の名木百選」に選定されている。
緑の葉の頃や落葉した冬は特に目立たないが、真っ赤な花を咲かせた姿は宮城島の
シンボルツリーだ。
電線がすぐ近くに架かっている。画面に入らないように空の雲を取り込む。
遠くの山並みは塩屋湾後背の塩屋富士やネクマチチヂ岳。
この宮城のデイゴは花のつき方が特徴的だ。
一見しただけではそれぞれの枝への花のつき方はわからない・・・・。
4月中旬に撮影(以下2枚おなじ)。
地面近くまで垂れた枝先の花を見てみると・・・。
枝先に穂状花序の花が8個放射状についていた。このように綺麗に輪のように広がっ
た花が多くついたデイゴはあまり見かけたことがなかった。よくみると殆どがこのように
ついていた。放射状になった花軸(?)は7本のものや9本のものもあった。
他のデイゴの木では2~4本ほどではなかったかと思う。もっと留意して見ていれば良
かった。
枝先は中段の枝でも同じ。
木の上部もきれいに放射状に花を広がげている。
このような咲き方だと各花が太陽の光を一杯に浴びることができる。
幹の下に入り込み太陽光線を避けながら撮る。
幹周り2メートル余の1本の太い幹が1メートルほどの高さで数本分かれ横や上に
伸びている。推定樹齢は27年という。
画面右手の二つの太い幹に小さく見える四角い白いものはヒメコバチ対策の防虫
薬剤注入済の表示票。
傘のように幹や枝を拡げ樹高も低いので歩道で立って花を真横から撮れる。
以下5枚は中旬の撮影。
穂状の花が幾つもの鉾のように並んで流れる。
塩屋橋近くの駐車場の方から見た光景。
夕暮れの逆光でより鮮やかに映える。
沖縄の話ーデイゴー (詩:新城俊昭)
沖縄の話をしよう
沖縄の話なら 花の話がいい
花ならデイゴの話をしよう
しっているかい デイゴの花
そうだよ
若夏の頃 碧い空いっぱい色どる
あの真紅の花だよ
このデイゴの花の咲く頃
沖縄では夏が始まるんだけど
昔はね この花は不凶をつげる花だといわれ
デイゴの諸手が燃えるように満開になって
碧空を染める年は
大きな台風がやってきて
島が凶作になるとおそれられたものだよ
だから島人(シマンチュ)には歓迎されなかった
悲しい花だったんだよ
でも今では
守礼の邦沖縄のシンボルさ
ところでこのデイゴの木っていうのが
実にぶさいくな奴でね
折れやすいわりには生命力が強くて
折れた枝のつけねあたりがコブになって
幹のまわりがやたらとデコボコになっているんだ
それに木自体も枝も奇妙にひんまがっていて
表皮には細いトゲがあるんだ
葉は手のひらのように広く
緑色に息づいてはいるんだけど
虫がつきやすくて散りやすいんだ
とてもじゃないが美しい木とはいえないんだよ
どちらかといえば醜い木なんだ
でも でもね そんなぶさいくな
どうしょうもな木なんだけど
毎年うりずんの季節になると
体一杯の葉を一枚一枚残らずに散らして
南の空のまぶしい碧空をキャンパスに
真紅の色を極めた
それはそれはきれいな花を描いてくれるんだよ
その美しさといったら
他にたとえようもないくらいなんだよ
それにこのデイゴの木はね
柔らかい上に丈夫なので
沖縄の工芸品には欠かせない
大切な木なんだよ
これがデイゴなんだ
これが沖縄の花なんだよ
沖縄人(ウチナーンチュ)とはそういうものなんだよ
新城俊昭著の詩文集『夕陽の証言』(海風社、1982年)掲載の詩より。
詩は読みやすくするために引用者が便宜上文節を区切って間をあけた。
同書に所容された「辺戸岬」や「楚洲の花」の詩もいい。「楚洲の花」は〈楚洲の花雲〉と
言われたツツジの花とそれを育てた老女とのことを詠んだ詩。
真っ赤なデイゴの花。八重山ではアカヨーラ(深紅の花の意)と呼ぶ。
ユリの花
野のユリが見たくなった。塩屋への途中本部の山道に車を走らせた。
野辺のゆり見たさに越えるやんばる路
8~10本ほどのユリがかたまって咲いている場所があった。
空にはゆったりと流れる白雲。草原に転がって姿勢を変えながら撮った。
雲が形を変えた。
ここに咲けば青きばかりに百合の花 (山口青邨)
撮り終えてユリの香りの中に寝転ぶ。
沖縄の県花を決めようと1965年に沖縄タイムスと緑化推進協議会のよびかけで
県民投票が行われている。
その結果デイゴが75,653票で1位。2位はブッソウゲで66,252票。ユリの花
(テッポウユリ)は3位。獲得票は1,848票。ユリの花が好きなものとしては残念。
大差にはびっくりする。
デイゴが正式に県花に選定されたのは投票の翌年1966年の12月20日に開催
された県花県木選定の審議会において。事後承認のかたちで決定されている。
(沖縄県HPを参考)
今投票が行われたら結果はどうなるだろうか・・・・。
イジュの花
イジュの花も見つけた。イジュはまだまだ蕾の木がほとんどだが1本の木だけなぜか
多くの花を咲かせていた。
潔き中年もあり伊集の花 (山田昌子)
農道端のイジュの木。うっかりすると通り過ごしてしまう。
月桃の道路側の葉は刈り取られていたがイジュの木の枝
はそのまま残されていた。今帰仁村嵐山付近。
『古今和歌集』(巻第二 春歌下)から歌を一つ。歌、意味とも岩波文庫より。
春の花の色の至りいたらぬ里はあらじ
さけるさかざる花の見ゆらん (よみ人しらず)
意味:春はどこにへも一様に来るはずで、春の色がやって来た里やって来ない里があ
るなんてことはあるまい。だのにどうして、咲いた花咲かない花がみえているのだろう。