2017年02月15日 13:30
先ゝ週、コスモスのすき込み作業の様子を撮るため名護市の羽地ターブックワーに行った。
一台のトラクターが作業を行っていた。
ゆっくりとコスモスの花の中に突き進んでいくトラクター。
機械音はほとんど聞こえない。静かな光景だ。
トラクターのライトを見たときはコスモスを睨み付けるようないかめしい目つきに見えた。
しかし、じっとその目を見ていると、コスモスの花たちを哀れむ涙目に見えてきた。
花に囲まれ静かに進む。
写真を撮っているのを知ると、トラクターの運転手は、コスモスが多く咲いている場所の
方にトラクターを回してくれた(ように思えた)。トラクターが近寄って来たときにお礼を述べ
ると、頭を小さく振って頷いてくれた。
田にはサギが2羽ほどいた。
そのうち1羽はトラクターの周りをずっと付きまとい、土中から出てくる虫をねらっていた。
どのような構図で撮るかいくつか考えた。
トラクターの周りを、後になり先になりあるいは少し離れて見ていたりしているサギも一緒
に撮りたかった。
トラクターの赤と黒、白いライト、運転手のジャケットの青、サギの白。そしてコスモスの
花のピンクや白。緑の地色のキャンバスに色彩が賑やかで美しく楽しい風景だ。
トラクターは時の境目。華やかな花の世界も、トラクターが過ぎ去れば失せて跡もなく、
もはやそれを知らない。夢の中。・・・じっとみていると感傷的になる。
カラスもやってきていた。カラスはしばらくすると飛び立ちまたやってくるということを繰り返
していた。
カラスはサギとは近からず遠からずの距離。
すき込まれたコスモスは緑肥となる。
すき込まれずに残ったコスモスの花がまだしおれずに鮮やかな色で咲いていた。
田ならし後、1期作の準備が始まる。田植えは3月頃のようだ。品種は「ひとめぼれ」。
1月から2月上旬の数週間、訪れた人々の目と心を楽しませたコスモスの花たちは、やがて
羽地大川の水でうるおった大地で稲穂に転生。夏の太陽の下、金色に輝く稲穂の海原とな
り、再び訪れる人々をなごませてくれる。
羽地の米は2期作。1期作は2月~6月(あるいは7月)頃。2期作は7月~11月頃。
収穫された「ひとめぼれ」は精米され『やんばるのお米』の名で販売されるという。
羽地ターブックヮーで餌を探すアマサギ 2014.5.6