2019年06月21日 23:00
夕暮れの那覇新港ふ頭。雲が多くなった。
輝きを放っている夕陽は次の雲に隠れようと
していた。
水平線は濃い霞。僅かに雲の隙間が横に広
がっている。
「あの間から夕陽がまた見られるかも知れな
い」と釣りをしている男性は希望を持たせる。
そのあと、「どうかなあ・・・」とも小さな声で言う。
しばらく水平線を眺めていると、雲間から夕陽
が現れ希望も見え始めた。
やがて2基のガントリークレーンが赤く映えた。
雲の変化が激しい。夕陽の上は美しい夕映
えになった。期待していた光景だった。遠くを
旅客機が上昇していく。
夕暮れてきりん佇むふ頭かな
「きりん」はガントリークレーンの愛称。
以前に撮ったことがある場所からの撮影。
盛り土され小さな丘のようになった場所の
石の上から撮る。
丘に生えた芒のシルエットを配し、広い野
に立つキリンをイメージした・・・・。
冒頭の写真を撮った場所とは少し距離が
ある。
夕陽の沈む位置は夏にかけてキリンの右側
に移動していく。
冬から春ならばキリンの近くに夕陽を配置し
た構図で撮れることだろう。
キリンのシルエットが美しく撮れる位置は限
られる。ふ頭を往来し、太陽の沈む位置と
撮影場所を下調べし前もってイメージを描
いた。
新港ふ頭地区国際ターミナルのガントリー
クレーンは4基。南側に2基、北側に2基。
今回撮ったクレーンは北側の2基。
那覇新港は4つある那覇港の港区の一つ。
他の3つは①那覇ふ頭(那覇港)②泊ふ頭
(那覇泊港)③浦添ふ頭。
那覇港の外貿貨物のほぼ全量を新港ふ頭
で取り扱っているという。
その主役がガントリークレーン。クレーンの
運転士は通称ガンマンと呼ばれ港のエース
職種らしい。
ガントリークレーンのガントリーとは、
「複数の高脚の上部に水平な梁を備えた
門形構造物」のことを意味するという。
荷役作業中はキリンの首は水平に伸して
いる。作業終了後は、船舶の航行の邪魔
にならないよう横行桁(ガータ)を折り曲げ
キリンに戻る。
そしてニライカナイを見つめて静かに佇む。
ガントリークレーンについては、ネットでかな
りの情報を得ることができる。荷役作業中の
動画も見れる。
北側の干瀬から望む。梅雨明け後の天気の
いい日に撮りに訪れたい風景。
藻の綠のイノーの彼方の青い空に入道雲、
その下にガントリークレーンの絵が浮かぶ。
夕陽に映えるキリンの姿もこの位置から見
てみたい。
国際ターミナルの後方。道路向かいに
消波ブロックの置かれた作業ヤードが
ある。
背景の空は南の空。夕焼け雲になるの
を期待したがならなかった。
海中から引き上げられた消波ブロックに
貝殻が付着していた。白雲と組み合わせ
て撮ろうと思ったが、思い描いた雲が現
れない。今日は無理なようだ。
消波ブロックには数字があった。
赤い数字は海中に設置する前に書かれた
ものだろう。3288と読める。
引き上げられた後と思われる数字は黒で
記されていた。
↓印のある風景。
クレー作業船が3隻停泊していた。その色彩
のカラフルさにすぐに惹かれた。
キリンはここの岸壁から撮影。
辺りには適当な距離で7~8名ほどの釣り
人がいた。夕陽を背景にシルエットを撮る。
近くでうかうかと撮っていると釣り針に引っ
かけられかねない。
別の男性の釣り竿が大きく弓状にたわんだ。
かなりの大物だったかも知れないが逃げら
れた。
男は何事もなかったかの如くかごの餌をばら
まき、釣り糸を投げ込んだ。
ググィッと釣り竿たわむ夕焼け空
帰る途中に見上げた空。
夕陽が沈んだ後もしばらくは空から
眼が離せない。
東の空に白く淡い満月。
夕陽の会話をした釣り人が、「うしろ振り向
いて見て。白い満月だよ」と教えてくれた月
が雲間に隠れようとしていた。
幻想的な月だった。
那覇新港の北側は浦添市の伊奈武瀬。
太陽が高い時間はここの海岸を散策した。
護岸に描かれたストリートアート。
まだ新しいものが多かった。
薄く霞のあるようなすっきしない空。雲にも
ちょっと不満足。忘れないために撮った。
護岸の抽象的なアートにイノーを組み合わ
せる。意外とおもしろい絵になった。
護岸のアートは多い。癖になりそうだ。
色あせないうちに撮り歩きがしたくなる。
沖の防波堤の海を20~30羽ほどの海鳥
が飛び交っているが見えた。遠すぎて小さ
な姿でしか写らない。
一人で釣りに来ていた近くの中学校の少年
が、「ここまで飛んでくることもあるよ」と教え
てくれた。
少年はサッカーをしているという。
ボックスの中のまき餌をもみほぐしながら、
「今日は強い小禄のチームに勝った」と嬉し
そうだ。
ユニホームも着替えずに釣りに来ていた。
釣り道具は大人並みに持っていた。
クリスマスプレゼントなどで徐々に揃えた
という。
丁寧にしっかりした口調で話す、釣りマニア
のその少年が気に入った。
時間が過ぎる。キリンが主目的だったので、
海鳥は待たずに少年に声をかけて切上げた。