November
November (詩:ジョン・アップダイク 訳:長田弘)
けれども
さむざむしい世界にも
うたがいなく
すばらしいものがある。
たとえば きれいな骨がそうだ。
高いところにいる 神が
わたしたちの心を 見つめている。
そしてうなづく ・・・・
今日で11月が終わる。明日からは12月。過ぎていった他の月と同じように区切られ
た時の流れの一日が過ぎていくことにかわりはないが、12月という言葉は、風の寒さ
に乗せて様々な感情をもたらす。
この詩は、ジョン・アップダイクの『10月はハローウィーンの月』 という絵本(みすず書房)
の中の「November」の一節。挿絵が美しい絵本。挿絵を描いたナンシー・エクホーム・
バーカートは最高の絵本に贈られるコールデット賞を受賞しているという。詩人の長田弘
の訳もいい。
詩の後半「たとえば美しい骨がそうだ/高いところにいる神が」のフレーズに含められる
イメージを理解しようとするが難しい。この部分で詩人は「11月」という月に何を見ている
のだろうか。絵本だから子どもたちには見えるはずのものだろう・・・。
写真は本部町の海岸で撮った。山羊の頭蓋骨。空を突き刺す角が陽の光を白く照り返し
ていた。詩の一節を詠んだときこの写真が思い浮かんだ。
ジョン・アップダイク(1932~2009)は、アメリカペンシルヴアニア州生まれの作家で詩人。
絵本は図書館から月と雲の挿絵がよかったので借りていた。11月のほかに4月の詩が気
にいった。
April
花々と木々の緑と
そして芝草。
それは 神様からの
小さな手紙
・・・(略)・・・
すべてが新しくなって
すべてがはじまる
ひとびとが 教会へゆく
手にユリをもって。
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